昨年末から当コラムを執筆させていただいておりますが、本年もぜひよろしくお願いします。
さて、第1回目、第2回目の記事で中国市場におけるAndroidの現状や人気機種を紹介してきましたが、今回からは数回に分けて各企業やコミュニティなどに焦点をあてて彼らのAndroidへの取り組みを個別に紹介していきたいと思います。
まず"通信キャリア"という観点で、彼らがどれくらいAndroidに取り組んでいるか、注力しているかをご説明したいと思います。
中国の通信キャリアは"中国移動(チャイナ・モバイル)"、"中国電信(チャイナ・テレコム)"、"中国聯通(チャイナ・ユニコム)"の3社に分かれています。通信キャリアの市場状況などの詳細を話していると際限がなくなってしまうので、そちらに関しては"こちら"や"こちら"をご参照ください。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回は中国移動のAndroidへの取り組みをご紹介しましょう。
中国移動のAndroidへの取り組みで、一番有名なのはやはりAndroidをベースに開発を行ったOPhoneではないでしょうか。
中国移動は2008年末にOPhoneの概要を発表し、2009年9月に実機とともに正式発表を行って以来、OPhone OSの開発元である播思(BORQS)社ともにバージョンアップや普及推進などを続けてきました。
搭載端末の方も、モトローラやサムスン、そしてレノボ、LGなど様々なメーカーから数多く発売されています。
中国移動の端末紹介のトップページでも目立つ場所にバナーが張られています。
現在のOPhoneの最新バージョンはAndroid 2.1互換の2.0ですが、SDKやソースコードなども公開されダウンロード可能になっています。
また、OPhone端末普及促進のため、アプリ開発者への働きかけにも力を入れており、例えば"OPhone開発者向けRoad Show"を中国各地で行って技術情報、開発情報を講演したり、MobileMarketという中国移動のアプリストア内にある開発者向けページで専用ページを設けてOPhoneの技術資料やTIPSなどの提供を行っています。
これほど積極推進しているOPhoneなのですが、ではOPhone一本槍で行くのか、というとそういうわけではありません。
2010年後半からは"素のAndroid"にも徐々に力を入れ始め、現在は"素のAndroid"端末の発売も行っております。
中国移動が発売する"素のAndroid"端末「HTC A8188」 |
また、先に紹介した開発者向けページでもOPhoneと横並びにAndroidの専用ページも用意されています。
バラエティに富ませユーザーニーズに応えていくための戦略と言われれば、その通りではあるのですが、2009年9月の発売当初の意気込みなどを考えるといささかOPhoneに対してトーンダウンしている感もあるのではないかと勘ぐってしまいます。
そう勘ぐってしまうのには理由があり、大きなものとしてはAndroidとの互換性の問題があります。
OPhone 2.0になって少し改善されたようですが、その前のバージョンの1.5は基本的にAndroid 1.5と互換性があるのですが一部動かないアプリがあったりUIが崩れてしまうなどの報告も多数寄せられていました。
そして1月6日から開幕したCESでAndroid 3.0が発表されましたが、そのバージョンアップスピードにどこまで合わせ、合わせられない場合どこのバージョンに互換をもたせたOPhone最新版を提供していくか、ということも悩ましい問題なはずです。
中国移動の本音を言えば、彼らが提供するモバイルサービスに端末からシームレスに繋がり利用者が増えてもらうのが一番でしょうから、今後OPhoneという形ではなく"素のAndroid"にそれらアプリを搭載した端末を出していく、という方が得策と思っているフシがあるのかもしれません。
Ophoneは2011年第1四半期に次バージョンであるOPhone 3.0(※一部では2.5という説も)がリリースされ、Androidとの互換性は(アプリの動作含め)100%となるなどと言われてもいますが、今後中国移動がどういった展開をしていくのかには要注目であることは間違いありません。