週刊少年マガジン(講談社)で活躍中の漫画家、赤松健氏が、コミックの電子書籍市場に一石を投じる動きを見せていることがわかった。赤松氏は11月26日を目処に「Jコミ」というウェブサイトを開設する。このサービスを運営するために株式会社Jコミを設立し、自身が代表取締役社長として携わる。Jコミでは絶版コミックをDRMフリーのPDFファイルとして配信。読者ユーザーはサイトから自由にファイルをダウンロードし、コミックを楽しむことが可能。ただし、配信されるPDFファイル内には広告が挿入されており、読者がクリックすることで広告収益が発生。収益は作品の著者に対して還元されるようになる。
配信されるPDFファイルは誰でも作成することが可能。作成したい場合、Jコミの該当ページに移動し、JPEG画像をまとめたZIPファイルをアップロードする。あとはサーバ側に用意された独自のプログラムによって自動的に広告入りのPDFファイルに変換される。この仕組みも無料公開される。
そして、注目すべき点は、PDFファイル作成は誰でもできることだ。著者だけに限らず、一般ユーザーが誰でもファイルをアップロードしてPDFファイルを作成できる。これにより、サービス・ローンチ後、爆発的にコンテンツが増える可能性がある。もちろん、公開される作品は出版社との契約が切れたものに限られる。そのため、やや古い作品が多くなってしまうことはやむを得ない。
しかし、Winnyなどのファイル共有ソフトでの違法流通では著者に1円も還元されないが、Jコミの仕組みであれば収益が還元される。Jコミはすでにいくつかの企業からの広告提供も取り付けており、11月26日にスタートするβ版サービスでもPDFに挿入される。β版のローンチでは、まずはダウンロード数や広告のクリック数を検証する意味も含め、赤松氏自身の作品「ラブひな」が配信される。もちろん無料で利用できる上、1巻から14巻までが提供される。
赤松氏はJコミのブログで次のように述べている。
「作者の許諾を得た『漫画ファイル』を市民にアップロードしてもらい、(一応スタッフがチェックした後に)広告付きで公開すれば、作者自身がスキャンしたりアップロードする必要もなく、どんどん『絶版マンガ図書館』が大きくなっていくのでは?!そう、ニコニコ動画やYouTubeみたいに!」
なお、PDFファイルで提供されるということはスマートフォン・ユーザーにとっても興味深い話になる。PDFはスマートフォンでは閲覧アプリにもよるが、基本的にスムースに扱うことができる。
また、正式サービスの開始は2011年1月の予定だ。
【情報元、参考リンク】
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