さて、最初にSMT-i9100のスペックと特徴をおさらいしたい。先に述べたようにAndroid 2.2タブレットなので、米Adobe SystemsのFlash Player 10.1に対応する点が大きな特徴の一つ。ディスプレイは7インチ液晶で、タッチパネルは静電容量方式。マルチタッチにも対応している。解像度は1,024×600と、市場の多くの7インチAndroidタブレットの中では最大クラス。プロセッサ情報は公表されていないが、内蔵メモリは512MBで、ストレージ容量は4GB。外部メモリとしてmicroSD/microSDHCカードスロットを搭載し、最大32GBまでのカードを利用できる。内蔵ストレージと合わせると最大36GBまでの容量を確保できる計算だ。カメラは背面に一つ備え、有効画素数は約200万画素。対応ネットワークはWi-Fiのみで、3G回線は利用できない。Wi-FiはIEEE802.11b/g/nをサポート。携帯電話回線を利用できないこともあり、電話機能は搭載されていない。あくまでもインターネット利用を目的としたタブレット型のコンピュータ端末という位置づけになる。説明員の方に確認しても、家庭内でパソコンよりも手軽にインターネットを使うことのできる端末、がコンセプトとされている。
ここまでの情報からもわかるように、同じサムスン電子製のタブレットとはいえ、NTTドコモ向けの「GALAXY Tab」(SC-01C)とは全く別物だ。GALAXY Tabはスマートフォンを大きくした端末と表現しても間違いではないかもしれないが、こちらは"Androidを積んだタブレット型コンピュータ"というイメージに近い。サイズは199×129.5×13.9mmで重さは約450g。専用のクレードルが同梱され、端末を乗せた状態で扱うことができる。その他のスペックは記事の最後に記した一覧で確認してほしい。
それでは最初にハンズオン動画を紹介したい。
動画をご覧になって、ある程度端末のデザイン、動作の感触などが掴めるのではないかと思う。ただし、SMT-i9100は発売日がずいぶんと先なこともあり、今後改善や変更の可能性もあるということだ。あくまでも現時点でのデモ機に過ぎない点を頭に留めておいて頂けると幸いだ。以下、筆者が端末を触ってみた感触をお伝えしたい。
【デザイン、サイズ、重さ】
デザインはご覧の通り。人それぞれ好みの違いはあれど、概ね良いデザインと言っていいと思う。カラーリングやデザインから受けるイメージはGALAXY Tabに似た部分もあるが、若干SMT-i9100の方が質が高く見える。というのも、GALAXY Tabは背面以外は粗い目の見えるプラスチックという質感のため、少々安っぽく感じるからだ。一方、こちらはベゼルを除く大部分が艶のあるホワイトで配色されているので、奇麗に見える。クレードルも曲線をうまく使った良いデザイン。サイズは至って普通。重さは片手で長時間持つには少し厳しいかもしれない。一般的に、大人が片手でストレスなくある程度の時間持ち続けられる重さは、400gが一つの境界線ではないかと思う。そのラインからたった50gの差だが、意外と大きい。時々片手持ち、基本は両手持ち、という使い方になりそうだ。まとめとしては、デザインは良い、サイズは普通、重さは微妙、といったところ。
【ディスプレイ】
1,024×600の解像度はやはり見やすい。7インチのAndroidタブレットは800×480クラスの解像度の製品が多いため、SMT-i9100はこの点では抜きん出ている。800×480程度の解像度のままディスプレイサイズが大きくなると、どうしても粗く見えてしまうので精細さに欠ける。その欠点がSMT-i9100には全くないので大きな魅力。
【タッチパネルの感触、操作性、UI】
UIはauスマートフォン標準の「Ocean Observation UI」。モリサワフォントも搭載されており、基本的にとても見やすい。アプリメニューについても、オーソドックスにページを左右にめくる形なので、すぐに馴染むことができる。初めての方でも特に迷うことなく使い始められるはずだ。タッチパネルの感触も他のAndroidスマートフォンなどと比較しても良い方。サムスン電子のAndroid端末は「GALAXY S」「GALAXY Tab」も含めてタッチパネルの感触と感度はかなり良く、SMT-i9100もほぼ同様と捉えてもらって構わないと思う。短い時間しか触っていないこともあり、断定はできないが動作速度も同程度に見えた。Google Mapsが若干遅く感じることもあったが、十分文句のないレベル。
【中身、サービス】
NTTドコモ向けのタブレット「GALAXY Tab」が、通常のスマートフォンなどと同じように扱われる端末であることと比べ、auにおけるSMT-i9100の位置づけは全く異なる。携帯電話の通信モジュールが内蔵されていないので、基本的にはauブランドではなく、メーカーブランド製品としての発売になる。もちろん、KDDIとメーカーの共同開発ということ点は他の端末と同様。しかし、auのサービスは一部しか対応しない。まず、IS NETは利用できない。EZ webメール、Cメールも使えない。一方で、端末の位置情報を確認できる「パソコンで位置情報」や「安心ナビ」、「auお客さまサポート」などは直接アクセスできるようにショートカットがあらかじめ用意されていたりする。ほかには、LISMO、EZナビウォークなどが検討中とされている。結局、重ねてになるが、au端末として独自のUIを採用されていたり、一部サービスに対応するものの、auサービスとの紐付きの薄い一般利用のための端末といったイメージだ。
なお、端末でできることは他のAndroid 2.2搭載スマートフォンと基本的に同じ。Android Marketからアプリをダウンロードして楽しんだり、ウェブブラウザでFlashコンテンツを利用することができる。最近リリースされた超人気ゲームアプリ「Angry Birds」も動く。カメラ機能は有効画素数が200万画素であることからも想像できるように、やや弱いものの、家庭内用途向け端末と考えれば、そもそも必要な機会は少ないはずだ。Bluetoothは2.1に対応しており、一通り使える。加速度センサーなどもスムースに働く。
【全体的な印象】
基本的に悪くない端末だと感じたし、おそらく多くの方がそう思うと思う。ただし、それは使い心地の話。1点厄介な欠点があり、内蔵バッテリーの持ちが非常に少ない。製品発表とともに公開されたデータでは、暫定値ながら連続使用時間は約2時間、連続待受時間は約12時間とされている。明らかに少ない。しかも、フル充電にかかる時間が約6時間という点もキツイ。SMT-i9100のネックはこの点だ。これでは外に気軽に持ち出すわけにも行かず、本当に家庭内や職場内専用、もしくは業務用のサイネージ端末として使うしかない。端末を触ってみて最後に残る印象はこの点に尽きる。中身はオーソドックスで決して悪くないだけに、使用時間の短さにガッカリしてしまうところ。とはいえ、使用時間に関してはあくまでも現時点での"暫定値"とのことで、最終的に発売されるまでには改善される可能性があるという話だ。
総括すると、内蔵バッテリーでの使用時間の問題を除くと悪くない端末。オーソドックスで好感の持てるタブレット。とはいえ、その点が大きなネックであることも確かで、さらに携帯電話回線を使えないことも注意点の一つになる。万人受けとは言いにくいので、用途が合致するか、どうしてもSMT-i9100が欲しい、というユーザー向けと感じる。ともかく発売までに使用時間が伸びることを期待したいところ。
下は端末写真。
以下、スペック情報。
- 商品名:SMT-i9100
- メーカー:サムスン電子株式会社
- サイズ:W199×H129.5×D13.9mm
- 重量:約450g
- OS:Android 2.2
- 通信方式:Wi-Fi
- 無線LAN規格:IEEE802.11b/g/n準拠
- 画面サイズ:約7.0インチ
- 画面ドット数:WSVGA (1024×600)
- 本体メモリ:RAM容量 512MB
- Flashメモリ容量:4GB
- 外部メモリ:microSD/microSDHC (2GB~32GB)
- カメラ:200万画素 CMOSカメラ
- 連続使用時間:約2時間 (暫定値)
- 連続待受時間:約12時間 (暫定値)
- 充電時間:約6時間 (暫定値)
- Bluetooth:2.1 + EDR
- 外部インターフェース:micro USB 2.0
- スピーカー:定格入力 1W + 1W (ステレオ)
- 付属品:クレードル、ACアダプタ―
- 販売価格:オープン価格
au/SMT-i9100
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