電子書籍データを作成し、流通に乗せるには素人目にも壁があるように見えるが、今回リリースされたサービス「Androbook」を使うとお手軽にそれができる。
作者、開発者が用意すべきデータはJPEG画像のみ。本の内容が写ったJPEG画像を連番で名前付けし、ZIPファイルにまとめる。あとはAndrobookのウェブサイトにアップすれば、apkファイルになって返ってくる。このapkファイルはAndroid Marketに登録し、全世界に配信することができる。実質的な手間はほとんどない。プログラムを書く必要もない。小難しいパソコン用ソフトウェアを使う必要もない。実に手軽だ。
Androbookを使って作られた電子書籍のサンプルはAndroid Marketで「androbook」で検索すればヒットする。
サービスを開発したのは株式会社クレイジーワークスの代表取締役、村上福之氏。ただし、Androbookはあくまでも個人的に試しに作ってみたものだという。試作品に過ぎないので、「本格的な運用は控えて欲しい」と注意書きされている。それでも興味深いものであることは間違いない。
個人出版、同人作家にとっても、自分の作品を簡単にAndroidアプリ化し、マーケットで世界配信できる点は大きいだろう。もちろん、Android Marketで配信する際には有料にすることもできる。電子書籍化から流通に乗せるまでを自分一人の手で気軽にできる点が最大の売りになる。Androbookのサービス利用料も無料だ。
村上氏は、現在の電子書籍プラットフォームの比較考察を行っており、「現状の消去法で考えると、マンガ配信や個人出版や同人はAndroidしか残ってない気がします」と述べている。比較したプラットフォームはiPhone、iPad、GALAPAGOS、Kindle、Android。
iPhone/iPadについてはAppleの審査が厳しいことも問題としており、「Appleは審査が厳しすぎてそもそもコミックボンボンクラスのマンガが出版できなかったり、特に日本のiPhoneコミックにおいては『1巻と3巻は審査に通って、2巻だけアウトになった』というややこしい話もあって戦々恐々としてます」と指摘。
Androidの場合は、個人が簡単にMarketでアプリを配信できるので、参入障壁は限りなく低い。もともと個人出版、同人など、小規模な電子書籍が集まりやすい環境にある。ただし、いかんせんプログラミングの壁だけは存在している。データをAndroid端末上で動く、電子書籍データ化する必要があるからだ。しかし、Androbookはその手間を大幅に省いてくれる。
Androbookを詳しくチェックしてみたいという方は、参考リンク内の、村上氏のブログ記事で確認して欲しい。
なお、サンプルアプリ「ハルコさんの彼氏Ver0.3-Androbook試作」をインストールしてみればわかるように、今のビューア機能はページ内の表示エリアのスライド、ページめくりなど、本当に基本的なものだけに限定されている。
【情報元、参考リンク】
Androbook
村上福之の「ネットとケータイと俺様」/Androidでガラパゴスじゃない電子書籍を作ってみました
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