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【レビュー】AndroidやiPhoneに対応したエレコム製 Bluetoothキーボード TK-FBP017BK

8月上旬に発売されたエレコム(ELECOM)製のBluetoothキーボード TK-FBP017BKのレビューをお送りしたい。まず、この商品はBluetoothの2つのプロファイルに対応している。HIDとSPPだ。その為、Android搭載スマートフォン、iPhone、iPad、パソコンなど様々な機器で利用することが可能だ。

さらに、この商品はキーボード中央部で折りたたむことができるので、非常にコンパクトな状態で持ち運びをすることができる。モバイル用途には最適のキーボードと言えるだろう。

今回のレビューでは、「iPhone 4」とAndroidスマートフォン「Xperia」を使って機能を試してみた。

最初に結論から述べたいと思う。iPhone 4やiPadなど、HIDプロファイルを使って接続する端末向けに利用するのであればTK-FBP017BKはオススメだ。記号入力時にキーボードの印字と実際に入力される文字がズレるという問題はあるものの、あまり気にならないレベル。入力機器として最も大事な軽快性、レスポンスの良さは確保されている。おそらく購入した方の多くが満足感を得られるはずだ。

一方、Androidスマートフォンで使う目的で購入する場合は、現時点では正直に言ってオススメできない。

Xperia、HTC DesireなどのAndroid端末では現在、HIDプロファイルをサポートしていない為、エレコムはSPPプロファイルを使って問題を解決してきた。そのために専用アプリまで開発して、だ。Androidユーザーにとってはありがたい措置であり、救済策になるわけだが、肝心のレスポンスが遅いのだ。キー入力と端末のディスプレイに入力文字が反映されるまでの間に若干のタイムラグがあり、軽快にタイピングすることができない。また、エレコムは専用の日本語IME「EleWnn」まで用意しており、この点の取り組みも嬉しい話だが、文字の変換周りの処理がストレスを生んでいる。詳しい話は以下で紹介していきたいが、現時点ではAndroid端末での利用に関してはソフトウェアキーボードの方が入力速度が速いかもしれない。

とはいえ、Android用専用アプリが今後のバージョンアップで改善されていく可能性は十分以上にあるため、この評価はあくまでも現時点でのものに過ぎない。改善された後には、評価がガラッと変わるかもしれない。そうなった時には「おすすめ」と言えるはずだ。

では、それぞれ詳しく紹介していきたい。


■ハードウェア

キーボード中央部を境に二つ折りするタイプ。キーピッチは18mm、キーストロークは2.3mm。キーの感触としては正に「普通のキーボード」と言った感。それ以上の表現をしにくいが、おそらく万人向きと言って差し支えないと思う。用意されているボタンやスイッチは下の画像の通り。折り畳んだ状態から開くには「開閉ボタン」を押せばいい。また、SPPプロファイルとHIDプロファイルの切り替えはキーボード右上に配置されたスイッチを使って行う。「開閉ロック」というスライダは、キーボードを開いた状態でロックするためのもの。不意に折り畳まれないようにするものだが、平らな場所に設置した時には特に使う必要もない。それでも十分安定して使用できる。



また、サイズは動画を見ていただければイメージを掴めると思うが、開いた状態で幅285.6×奥行99.3×高さ14.1mm、折り畳んだ状態で幅146.2×奥行99.3×高さ21.9mm。重さは電池を含まない状態で165g。電池を含めても単4電池二本なので気になる重さではなく、体感的にはとても軽い。

とにかくハードウェアには全く不満を感じない。



次に実際にスマートフォンに繋げた感想を紹介したい。


■iPhone 4での使用

iPhone 4ではHIDプロファイルがサポートされているので、キーボードの切り替えスイッチはHID側にする。あとはiPhoneで設定機能を呼び出し、「一般」→「Bluetooth」と進み、Bluetoothをオンにし、画面に表示されたエレコムのキーボードの項目をタップしてからキーボード自体の「Bluetoothボタン」を押す。数秒待てばペアリングは完了。使える状態になる。これら一連の設定はスムースにできる。

それでは実際に設定からキーボードでのタイピングまでを動画でチェックしてみて欲しい。




一目瞭然だと思うが、基本的に何の問題もなくスムースにタイピングできる。感覚はパソコンと同じかそれ以上だ。というのも、キーボードを使ってみて改めて気付いたことだが、iPhoneの文字変換は意外と賢い。普段端末単体で使っている時にはそう感じにくいが、キーボードを接続すると印象が変わる。その為、かなり速く入力することができる。おそらく出先で長文メールを打ったり、ブログを書いたり、という事もストレス無くできると思う。

ただ、一点だけ注意点がある。括弧や一部の記号がキーの印字と実際に入力される文字で一致しない。ズレがあるため、記号入力に関しては慣れが必要だ。しかし、その点を大した問題だと感じさせないほど、基本的なレスポンスがよく、軽快に使うことができる。それだけにオススメだと、ある程度ハッキリ言うことができる。


■Xperiaでの使用

Xperiaで使用するには前準備が必要だ。専用のアプリを2つインストールし、設定を行っておく。詳しいやり方はマニュアルに書いてあるのでここでは割愛するが、Android Marketから2つのアプリをダウンロードしてくるだけだ。特に難しいこともなく、それほどの手間でもない。設定も「文字の入力設定」で「EleWnn」をオンにするだけだ。その後、キーボードの認識手順が必要だが、その辺りもマニュアルに記載されているので省きたい。ペアリングに関しては若干手順が多いが、それほど気になる点ではないので、先に進みたい。

それではタイピングを動画でチェックしてみて欲しい。




動画をご覧頂ければわかるように、キータイピングとディスプレイに文字が反映されるまでの間に若干のタイムラグが生じている。長時間使おうとすると、どうしても気になるレベルだ。実際このラグのせいで長文を打つ気にはなれない。加えて、レスポンスの悪さ以外にも欠点がある。

これはEleWnnの問題だと思うが、文字の変換周りの処理がスムースさに欠けるのだ。文字を変換する時にはキーボードの「変換キー」を押すのだが、変換候補を選択した後に必ず「Enterキー」を押して確定させる必要がある。確定させずに次の文字を入力しようとすると、変換がキャンセルされ、ひらがなに戻ってしまう。例えば「今日はいい天気です」と打ちたいとする。一文をまとめて変換してもいいが、ここでは単語区切りで説明する。「きょうは」「いいてんき」「です」と3つに分けて入力しよう。この場合「きょうは」を入力した時点で「変換キー」を押す。おそらく一回押せば「今日は」に変換されるだろう。この後、いきなり「いいてんき」と打ってはいけない。一旦「Enterキー」で変換を確定させてやる必要がある。そうしないとせっかく変換させたのに「きょうは」に戻ってしまう。次の「いいてんき」についても同様に変換後に確定させなければ先へは進めない。

このことがタイピングの軽快さを奪っており、どうしても入力速度が遅くなってしまう。もしくは、この操作に慣れなければいけない。

基本的に大きなマイナスポイントはこの2点。レスポンスの悪さと面倒な変換処理だ。

しかし、実は細かく見ていくと他にも気になる点がある。半角、全角切り替えは「Esc」キーで行うのだが、今自分がどの設定にしているかを確認する手段がないのだ。切り替えパターンは「全角かな」「全角英数」「半角英数」の3つあり、「Esc」キーを押す毎に変わるのだが、画面上のどこにも状態が表示されないので、何に設定しているのか忘れた時には一旦文字を入力してみないことには確認できない。ディスプレイ上には「文字 あ A 1」と表示されるエリアがあるが、キーボードでの切り替えには対応していないので表示が変わらない。また、ステータスバーにもIMEのエリアがあり、「あ」と表示されているが、キーボードからは表示を変えることができない。これらの表示はEleWnnをソフトウェアキーボードで使った時にはしっかり切り替わる。

加えて、接続状態の持続時間に制限があり、未入力状態のまま10分以上放っておくと切断されてしまう。その後もう一度再接続の手順を踏まなければ使える状態にはならない。トイレに行ったり、タバコを吸いに行ったり、文章を考えたりと、意外と10分位キーボードから手を離す時間はあるはずだ。その度に再接続させるのはやや億劫だ。

結局、2010年8月上旬時点では少なくともXperiaでの利用においてはいくつかの不満点が目に付く状態にある。冒頭でオススメできないと述べた理由はこれだ。

ただし、感じ方は人それぞれであり、一概に決め付けることはできない。この程度のタイムラグや変換処理にストレスを感じない方もいると思う。

また、基本的にはソフトウェア側の問題のはずなので、今後のバージョンアップで改善される可能性がある。そうなった時には先に述べたように評価はガラリと変わるかもしれない。個人的にも早期にバージョンアップし、1箇所ずつでも改善を積み重ねてほしいと期待したい。


■総括

最終評価はプロファイル別に完全に分かれる。HIDプロファイルで利用できる端末であれば、特に問題なくおすすめできる。もちろん、記号キーのズレを許容する必要はある。一方、SPPプロファイルを利用する端末の場合には、現時点ではおすすめしにくい。しかし、動画で紹介した程度のタイムラグであれば十分に許容できる、という方であれば、購入するのも悪くないかもしれない。だが、個人的にはXperiaでの利用を考えるのであれば、しばらくは様子見し、バージョンアップ情報を待ってからの方が良いのではないかと思う。HTC Desireでの場合に関してもレスポンスがやや改善されても、EleWnn周りの問題が残るし、HIDプロファイルでの使用に比べれば劣る。値段もAmazonで購入しても約12,000円と高価なので、慎重に選択したい。


■謝辞

最後に、今回のキーボードを貸して頂いたITmediaオルタナティブブログのブロガー、方波見氏に感謝の言葉を述べたいと思います。ありがとうございました。また、エレコム広報担当者の方にもお礼申し上げます。方波見氏のブログでは本記事とはまた異なったレビュー記事が書かれているので、購入を検討している方は参考になるかと思います。

下はAmazonの商品リンク。


【情報元、参考リンク】
エレコム/TK-FBP017BK製品紹介ページ
破壊的イノベーションでキャズム越え/TK-FBP017レビュー記事1
破壊的イノベーションでキャズム越え/TK-FBP017レビュー記事2

読者&編集部コメント欄

この記事のコメント:1 件
  1. twitterに純正1.6のHT-03A(rootは取っているけれど非ルート?)で
    elecomのhidのbluetooothフルキーボードが使えて
    再接続が手動ながら
    日本語入力も含めてopenwnnで普通に使えているという話がでてました。
    このキーボードもその方法で使えるはずです。

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