米Adobeと米Appleの関係は修復不可能な段階にまで進んでしまったのかもしれない。AdobeはiPhone、iPod Touch、iPad向けのFlash Playerの開発を中止する事を発表し、AppleのiPhone OS ライセンス規約の変更を批判した。今回の規約変更により、Adobeが長い時間を掛けて開発してきた新製品「Adobe Flash CS5」の特徴的な機能が事実上意味のないものと化した。「Packager for iPhone」と名づけられたこの機能は、Flashコンテンツを簡単にiPhone向けに変換できる機能をもったもの。
ところが、規約変更によって、この機能を利用したアプリはApp Storeの承認を受けることができなくなってしまった。Packagerの利用価値が消滅したことになる。
Adobeの主任プロダクト・マネージャー、マイク・チャンバー氏は20日、自身のブログでこの件に関して次のように述べている。
「今回の変更によってUnity、Titanium、MonoTouch、Flash CS5などを利用したアプリの開発者はコンテンツをストアから撤退せざるを得なくなるだろう。Flashはブラウザ、プラットフォーム、デバイスの違いに関係なく自由に開発できるようにすることが目的になっている。しかし、Appleはこのようなやり方とは正反対の考えをもっているようだ。Appleが築き上げようとしている閉鎖的な環境は開発者、そしてユーザーにとって良い影響を与えないだろう」
彼は少々感情的に次のように続けた。
「Appleは彼らが指定するプログラミング言語以外での開発を禁止したが、これはFlashの締め出しを最大の目的にしたものだと我々は確信した。我が社の名前こそ挙げられていないもののね。おそらく我々の提供するツールで開発されたFlashベースの数百のアプリが、まもなくApp Storeから削除されるだろう。私は怒りの気持ちを隠すことができない」
Adobeは今後、GoogleのAndroid OS端末向けの開発を強化していく方針を示しており、Andoridに関しては次のように述べている。
「Flash Player 10.1とAdobe AIR 2.0の開発をGoogleと共に行っている。Android向けのFlash Playerを利用したコンテンツは素晴らしい出来だよ。おそらく今後はiPhoneアプリからAndroidアプリへ開発者の移行が増えるだろうね」
このようにAdobe側はAppleに対して閉鎖的で嫌らしいやり方と批判しているが、当のAppleも反撃に出ている。
Appleの広報担当者、トルーディ・ミラー氏は次のように述べている。
「どうも正反対の考えに捉えている方がいるようだ。HTML5、CSS、JavaScript、H.264などの技術は全てオープン・スタンダードなものだ。一方、AdobeのFlashは閉鎖的で独占的なものだ」
なお、AbobeのFlash Player for Androidは現在ベータテスターを募集しており、5月にパブリックベータ版がリリースされる予定。その後ブラッシュアップ、バグフィックスを図り、2010年上半期中に正式版がリリースされる予定になっている。
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