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【書籍レビュー】「別冊アスキーGoogle完全本」。Xperia購入予定者にとってどう?

Xperia、Androidに関する特集が掲載されたコンピュータ雑誌「別冊アスキーGoogle完全本」(発行:アスキー・メディアワークス、価格:980円)をすでに購入、もしくは立ち読みで確認された方もいるかと思うが、ここではまだ手にとられていない方向けにレビューを紹介したいと思う。

まず、この雑誌は、先に発売された晋遊舎の家電批評5月号増刊「iPhone×Android」(レビュー記事はこちら)に続く、”Xperiaに関する特集が載ったコンピュータ系の雑誌”になる。その為、発売前からXperia購入予定者の間では話題になっていた。

しかし、細かいレビューに入る前に先に注意しておきたい。

この雑誌はタイトル通り「Google完全本」だということを。Xperiaの扱いはAndroid OS搭載スマートフォンに関する特集の中のごく一部に過ぎない。その為、それだけを目当てで買うのは避けるべきだ。他の記事への関心もある方にオススメする雑誌である。

さて、それではレビューを始めたいが、最初に総評を述べたい。箇条書きする。

・Googleに関心はあるが、実はよく知らない方にとってはオススメ。
・Googleのサービスに関心はあるが、基本の基本の使い方しか知らなかった方にはオススメ。
・Googleのサービスを細かい部分まで徹底的に使い込みたい、という方向けではない。そこまで細かくない。
・Xperia購入後の基本的な設定やAndroidマーケットの利用法を事前に確認したい方にはオススメ。

個人的にはXperia、Androidの記事を目的に買ったので、p.89以降だけを抜き出して「Xperiaで始めるAndroidスマートフォン」みたいなタイトルを付けて400円くらいで売って欲しかった。それならば、無条件でXperia購入予定者に対してオススメできたと思う。

とはいえ、日ごろからコンピュータ系、インターネット系の話題、コラムなどを読むのが好きな方にとっては十分に満足できる雑誌だといっていいと思う。個人的には買って後悔することはなく、満足できた。詳しくは以下のピックアップレビューを参考にして頂きたい。

なお、アスキーは今後Xperia本も出版するようなのでそちらも楽しみにしたい。


【ピックアップレビュー】


■「目次」

写真をご覧になればわかるように、本誌の構成内容はほとんどがGoogle自体、もしくはGoogleのサービス紹介で占められている。ページ数は168に及び、なかなかのボリュームだが、Android、Xperiaに関する話題は121ページから151ページまでの31ページだ。



■「Google最新事情 2010」p.20-88

この雑誌のメインの一つ。内容はいくつかの項目別にまとめられている。下記以外にも「仮想報道・特別編」「高城剛×福岡俊弘 往復書簡」などがある。

・グーグルがわかる50の数字
・本社潜入レポート/キーパーソンインタビュー
・グーグルのソフトとハードの”技術”
・見えてきたクロームOSの正体
・半歩先ゆく、これからの検索
・中国vsグーグルを世界のメディアはどう伝えたか

これらの記事では、Googleの歴史、概要、サービス、本社の様子、検索テクノロジーの概要、ロゴの変遷、クロームOSの概要、これからの検索テクノロジー(音声入力など)、他社の検索サービス(Bing、ウルフラムアルファ)、Googleが取り組む他の事業や文化、などについて社員の方のインタビューを交えた形で紹介されている。

これらの内容についてよく知らない方にとっては非常にわかりやすく参考になる記事だ。一方、Google使用歴が長く、Googleのサービスの多くをハードに活用してきた方にとってはどこかで聞いたような話ばかりかもしれない。

そういう方でも西川徹氏の「グーグルのソフトとハードの”技術”」というコラムは興味深く読めるかもしれない。ソフト、ハード両面から検索技術について紹介されており、特にコンテナに格納されたサーバールームの紹介のくだりや電力消費に関することは知らない方にとってはとても面白いと思う。

また、別冊子として切り離せるようになっている「仮想報道」も個人的には良かった。

一見、この雑誌は”Google万歳”というスタンスで書かれたように見えがちなタイトル、「Google完全本」と名付けられているが、歌田明弘氏の書かれたこの付録小冊子ではGoogleに対する厳しい意見や疑問も多く述べられている。読み応え十分の小冊子なので、コラム好きにとってはいいだろう。しかし、あくまでコラムであり、Googleに関する新情報を求めている方が読む必要はないだろう。この小冊子は35ページある。



■「Googleクラウドサービス活用テク 101」p.89-113

この特集では、Googleが提供するGmail、Google カレンダー、Google ドキュメントなどのサービスを利用する上で、より効率良く、便利に使うための101のチップスが詰め込まれている。

これからAndroidケータイを使っていこう、という方にとっても役に立つと思う。特に「これまでGmailやカレンダー、ドキュメントなんて使ったことないよ」と言う方がこれから利用し始める場合には最適だろう。量も必要十分で、あまりに細かいところまでは突っ込んでいないので、「ある程度基本的な機能だけチェックできればいいよ」という方にも手頃だと思う。

活用テクは全部で101個。ボリュームもある程度想像しやすいかと思う。例えばGmailに関するネタは22、ドキュメントは10、カレンダーは12といった感じだ。

Googleのサービスを普段から利用している方にとっても、いくつか知らないネタもあるかもしれない。例えば、私の場合は普段からGmail、カレンダー、ドキュメントを利用しているが、「メールアドレスに"+"を入れて捨てアドにする」などは知らなかった。

ただし、Googleのサービスを個別に徹底解説した本には分量で勝つことができないので、徹底的に細かいことを知りたい、といった方向けではない。



■「アンドロイドのすべて」p.121-151

Xperia、Androidスマートフォン購入予定者にとって最も関心の高い特集記事がこれだろう。この特集では次のような項目別に内容がまとめられている(一部ピックアップ)。

・Xperiaの魅力に迫る!
・最新アンドロイド端末事情と購入術
・Androidを徹底的に使いこなすコツ22
・Androidが100倍楽しく&使いやすくなるオススメアプリ35


「Xperiaの魅力に迫る!」に割かれたページ数は6ページである。これで想像できると思うが、さわりの概要紹介だけに留まっている。Xperiaの紹介記事という意味でいえば晋遊舎の「iPhone×Android」の方が圧倒的に分量が多い。

次に「最新アンドロイド端末事情と購入術」だが、こちらもタイトルほどは期待できない内容になっている。少なくとも具体的な購入方法や使用方法への言及はない。あくまでもアメリカからのアクセスだと偽装すれば注文可能だとか、海外への転送サービスを利用することで日本への発送問題をクリアできる、とかの表面的な説明だけに終始している。本当に購入したい方は別途ネット上で方法を探す必要があるだろう。

とはいえ、海外端末の使用には法的にも気をつけなければならない点が多いので、あまり具体的に紹介するのも問題かもしれない。

以上の2つの記事については大した内容が載っていないが、後半の2つについては良い。

特に「使いこなすコツ22」はXperia購入後に最初にやっておきたい初期設定や基本的な使い方のコツが紹介されている。例えば「Googleアカウントの登録やデータの同期」「Android Marketでのアプリの購入方法」「アプリのアンインストール方法」「アプリの返品方法」「野良アプリのインストール方法」「機能をオフにしての省電力化」などだ。

もちろん基本的なことばかりなので、Xperia購入後に一度読んでやり方を覚えてしまえば、二度と見る必要のないものかもしれない。しかし、現時点ではこういったことについて記されている書籍がないので、手元にあってもいいだろう。

最後のアプリ紹介も同様に、XperiaでAndroidスマートフォン・デビューという方にとってはいい記事といえるだろう。

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