<▲図:自転車シェアリングサービスが新宿区でも提供開始> |
ドコモ・バイクシェアおよび江東区、千代田区、港区、中央区の各区は、それぞれ独立したサービスとして提供されている自転車シェアリングサービスを相互に乗り入れできるサービスを広域実験として2016年2月より開始。レンタルした自転車を他区で返却する、または他区のサイクルポートにある自転車もレンタルできるようになっています。そこに新宿区も加わりました。
今回は、新たにサービスがスタートした「新宿区自転車シェアリング」に月額会員として登録を行い、千代田区の靖国神社から皇居を経由して、中央区の銀座・晴海方面へと実際に自転車をレンタルして移動する中で気付いたことなどをお送りします。
●会員証登録は欠かせない
ドコモ・バイクシェアの提供する自転車シェアリングサービスを快適に利用するために欠かせないのは「会員証」として、SuicaカードやおサイフケータイなどのFeliCaカードを登録することです。
会員証としてFeliCaカードを登録していないと、自転車をレンタルする都度Webサイト上からレンタル手続を行う必要があり面倒です。目の前にある自転車を借りるためにWebサイト経由でレンタル手続を行わなければならないため、サービス全体の使い勝手が大きく損なわれてしまいます。登録していればずっとスムースです。
<▲図:「会員証」として登録可能な新宿区自転車シェアリングの専用ICカード> |
会員証として登録するFeliCaは、普段電車に乗るために使用しているSuicaなどの交通系ICカードや、フィーチャーフォンやAndroid端末に搭載されているFeliCaのほか、バイク・シェアの専用カードなど、様々なものを登録可能です。ただし、1契約につき会員証として登録できるFeliCaカードは1つまでで、携帯電話の機種変更を行った際などはその都度会員証として使用するFeliCaカードの変更手続が必要となります。
恥ずかしながら、筆者は会員証としてFeliCaが登録可能であることを知らずにサービスを使っていた時期が(かなり昔ですが……)あり、サイクルポートに向かっている途中にその都度レンタル手続を行っていました。会員証として「おサイフケータイ」などが登録可能なこと、そして会員証登録を済ませればその都度レンタル手続をWebサイトから行う必要が無いことを知ってからは、サービスに対する印象が大きく変わったのは事実です。
●ポート探しは公式アプリが便利。予約連携などはイマイチ
自転車はサイクルポートと呼ばれる、いわゆる自転車置き場にあるわけですが、そのサイクルポートを探すには、ドコモ・バイクシェアが提供する公式アプリが便利です。
Google Play(Android版)からのアプリのダウンロードは以下にて。
→ドコモ・バイクシェア ポートナビ
App Store(iOS版)からのアプリのダウンロードは以下にて。
→ドコモ・バイクシェア ポートナビ
公式アプリではサイクルポート毎の貸出可能台数を表示することも可能ですが、アプリからの予約の場合、台数管理システムとスムーズに連携できていないようです。そのため、貸出可能な自転車の台数が少ない場合には注意が必要です。
時間帯や場所によっては、サイクルポートでレンタルできる自転車が少ない、または1台も無いこともあるため、レンタルできる自転車の台数が少ないポートでは事前に予約を行った方が良いでしょう。ただし、事前予約を行った場合はおサイフケータイなどの会員証を「かざしてレンタル」することはできず、操作パネルを操作してコードを入力してレンタル手続を開始する必要があります。
レンタル予約がアプリで完結できない点や、レンタル中の自転車のレンタル開始時間などをアプリから確認できない点はイマイチではありますが、近くのポートを探すためのアプリとしては及第点と言えるでしょう。
●バッテリーが切れてるとタダの重たい自転車なので注意
ドコモ・バイクが提供する電動アシスト付き自転車は、全ての自転車で電動アシストが標準装備となっています。しかし、便利な電動アシスト機能もバッテリーが切れてしまえば「ただの重たい自転車」となってしまうため、レンタル前にバッテリー残量のチェックは欠かさないようにしましょう。
バッテリー残量のチェックは、自転車の左手側にあるコントローラーの電源をONにすることで確認ができます。
<▲図:バッテリー残量を要チェック> |
前述のWebサイトからのレンタル予約と関連するのですが、Webサイトからレンタル手続をする場合、事前に自転車のバッテリー残量を確認することができない点は、移動距離や利用時間が長くなる場合には特に不便に感じるところです。
なお、近くにあるサイクルポートでバッテリー残量が十分にある自転車がレンタルできない場合、月額会員であれば「30分以内に近くのポートまで移動して乗り換え」をするという手もあります(月額会員以外でもできますが、その都度レンタル料金が発生します)。
●月額会員なら「30分以内に返却」し続ければずっと無料
新宿区自転車シェアリングなど、ドコモ・バイクシェアが提供する自転車シェアリングサービスでは、個人向けの月額会員の基本料金は2,000円で、1回あたり30分間は何度でも自転車が使い放題です。1回あたり30分を過ぎると、30分ごとに100円の追加料金が発生します。
<▲図:自転車シェアリングサービス 料金> |
月額会員向けの「最初の30分無料」は、連続して30分を超えて自転車をレンタルすると30分ごとに100円の追加料金が発生しますが、レンタル開始から30分以内に一度サイクルポートで返却手続を行えば、再び30分間は無料で自転車をレンタルすることができます。このため、月額会員であれば「レンタル開始から30分以内にサイクルポートで返却手続を行う」ことを徹底すれば、追加の料金支払なしに自転車が乗りホーダイとなります。
実際に「30分以内に自転車を返却」することはそれほど難しいことではないのですが、筆者が今回試したようにある程度の距離を移動する際に、30分毎に最低1回返却を行う必要があるのは手間です。また、自転車をレンタル中に買物などをする場合でも、30分だと余裕が無いというケースもあるでしょう。
ドコモ・バイクシェアのサービスでは、月額会員でも無料で使えるのは「レンタル開始から最初の30分間(1回あたり)」となっていますが、この「最初の30分」が延長されれば、月額会員にとってサービスの使い勝手が大きく改善することは言うまでもありません。
●同じように見えて違う自転車の仕様・快適さ
冒頭で「ドコモ・バイクシェアのサービスは5区で共通」としましたが、その中でも微妙に異なっているのが各区の自転車の仕様です。
なかにはバックミラーがついている自転車もありますが、複数の区の自転車を利用してみて気付いた最も大きな違いは「新しい自転車の方が乗っていて快適」という点です。
言うまでもなく、現時点で最も自転車が新しいのは新宿区自転車シェアリングで追加された自転車ですので、サイクルポートで様々な区の自転車が混在している場合はサービスが提供開始されてから日が浅い区の自転車を選ぶ、または見た目がキレイな自転車を選ぶと、より快適に・より安全に移動することができるでしょう。
ある程度の距離を移動する場合や、レンタルする時間が長くなる場合には、サイクルポートで自転車を乗り換えしてみると良いかもしれません。自転車を乗り換えする場合、月額会員であれば「最初の30分間無料」のルールをうまく使えば追加料金は発生しません。
●今後望むこと:ポートの更なる拡充、Webサービスの使い勝手改善など
新宿区でサービスが提供開始されたように、ドコモ・バイクシェアが提供する自転車シェアリングサービスが利用可能なエリアは徐々に広がっていますが、サービスが提供されている区の中でも、まだまだポート数や自転車数が充実しているとは言い難い、というのが筆者の率直な感想です。
ドコモ・バイクシェアが提供しているような自転車シェアリングサービスの例を挙げると、台湾の台北市などで提供されているYouBikeが「市民の足」として機能しており、台北市内ではYouBikeの利用者を頻繁に見かけます。
<▲図:YouBikeは市民の足としても使われている> |
YouBikeでレンタルできる自転車自体は、いわゆる普通の自転車です。電動アシストはありませんし、自転車の位置情報を把握するためのGPS、3G通信が可能なモジュールなども搭載されていません。ところが、ポート数やレンタル可能な自転車の台数ではYouBikeは圧倒的に多いので、サービス全体の使い勝手では優れています。
<▲図:YouBikeのポート検索アプリ。 台北市内に多数ポートが設置されている> |
そのほか、非常に細かい点を指摘すれば、YouBikeではレンタル開始時や返却時に「悠遊卡」をかざすと、レンタルまたは返却が正しく受付されたことが音とLEDによるレスポンスですぐにわかるのですが、ドコモ・バイクシェアでは操作パネル上に表示された文字列を目視する必要があるので、この点で気が利いているとは言い難いように思います。
<▲図:ドコモ・バイクシェアでは操作パネル上の文字列を目視確認する必要がある> |
加えて、ドコモ・バイクシェアではレンタル開始時や返却完了時などの通信をドコモの3G回線を使って行いますが、モバイルネットワークを使った通信のためか、各種処理に必要となる時間がやや長く、全体的にレスポンスが悪い印象です。
例えるなら、YouBikeをレンタル・返却する際のレスポンスは交通系ICカードで駅改札を通過する際に通過・エラーを返してくれるイメージで、ドコモ・バイクシェアのサービスではスペックの低いスマートフォンで味わえる「もっさり」のイメージです。
今後のサービス改善の余地が多分にあるように思えるドコモ・バイクシェアの自転車シェアリングサービスですが、筆者はいち利用者として利用可能なポート数・自転車の拡大や、利用可能な区が広がることを強く願っています。
【関連リンク】
東京・新宿区自転車シェアリング(レンタサイクル)
記事執筆者プロフィール
島田純
ブロガー/フリーライター
Twitter:@shimajiro、ブログ:shimajiro@mobiler
ブログとモバイルと旅が好きなフリーランスのブロガー/ライター。
モバイルWi-Fiルータやデータ通信関連が得意です。
ブロガー/フリーライター
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本コラムは毎月第1・第3火曜日更新予定!
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