<▲図:Speed Wi-Fi NEXT WX02> |
筆者は旧モデルにあたる「Speed Wi-Fi NEXT WX01」(NECプラットフォームズ製)も長いこと使っているので、新旧の比較も含めて紹介したいと思うが、WX02の発売は約4か月前なので、旧モデルのWX01は入手しにくくなっている。そのため、新旧比較はあまり意味がないので、実際には異なる技術「キャリアアグリゲーション」を採用して下り最大220Mbpsに対応する「Speed Wi-Fi NEXT W01」や「Speed Wi-Fi NEXT W02」(両モデルともファーウェイ製)との比較に重きを置きたいと思う。
<▲図:上がWX01、下がWX02。ちょっと丸みを帯びただけで見た目は似ている> |
<▲図:上がWX02、下がWX01> |
<基本仕様>
WX02が対応するネットワークは「WiMAX」と「WiMAX 2+」。WiMAX 2+の下り最大220Mbpsには4x4 MIMOと言う技術で対応させている。ちなみにW01/W02はキャリアアグリゲーションと呼ばれる技術で対応させている。キャリアアグリゲーションは複数の周波数帯で同時に通信を行う技術で、特性が異なる。
<▲図:左は上からWX01、WX02、右はW01> |
本体のサイズは約110×66×9.3mm、重さ約95gで、WX01とほとんど同じサイズだ。少し丸みを帯びた形状なので、印象は少し異なる。バッテリー容量は2,500mAhで、背面パネルは外せるので、バッテリーの交換は自分で行うことができる。バッテリー交換ができないW01/W02との大きな違いの一つだ。
<▲図:WX02は背面パネルを外してバッテリー交換ができる> |
スマートフォンやノートPCなどとの通信接続はWi-FiだけでなくBluetooth、有線(USB)でも可能で、Bluetoothの場合はWi-Fiより大幅に速度は落ちるものの、消費電力が少ないので、長時間の通信が可能になる。
バッテリーでの連続駆動時間はカタログスペック上は、「エコモード」時にWi-Fiで約10時間、Bluetoothで約12時間。「ハイパフォーマンスモード」時はWi-Fiで約7時間20分、Bluetoothで約9時間。
<▲図:動作モードは3つ。新たに加わったのはバランスモード> |
WX01にはなかった「バランスモード」時はWi-Fiで約8時間10分、Bluetoothで約10時間30分だ。バランスモードは下り最大220Mbpsから下り最大110Mbpsに落として通信するモードで、速度は下がるが連続通信時間は延びる。
このバランスモード搭載がWX01からWX02への最大の変化点だ。
なお、Wi-FiはIEEE802.11a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz)対応で、最大で10台までのWi-Fi機器を同時に繋げることができる。
<パッケージと同梱品>
<▲図:パッケージとWX02本体、クレードル。クレードルは別売り> |
パッケージに入っているのはWX02本体とUSBケーブル、マニュアル類、保証書だけ。注意したいのはUSB-ACアダプタが入っていないこと。WX01にはUSB-ACアダプタが同梱されていたが、WX02ではカットされた。とはいえ、最近はUSB-ACアダプタは汎用的な市販品を持っている方が多いと思うので、それを使えば大丈夫だ。また、クレードルも別売りだが、セットで購入する方が多いだろう。
<▲図:WX02のパッケージ内容。ACアダプタはないので市販品を使おう> |
<▲図:クレードルは充電スタンドとしても使えるし、固定回線を繋いでホームルーター代わりにすることもできる。あると便利だ> |
クレードルの形状はWX01のものとほとんど同じだが、ルーターをセットする窪みの部分の形状はWX02専用なので、WX01との共用はできない。
<▲図:ルーターをセットするスリットの形状はWX02専用> |
<WX01からの変更点・改善点>
WX01のユーザーであればWX02に機種変更する必要はないと思う。それくらい変更点・改善点は少ない。しかし、初購入の方であれば今更WX01を選ぶ理由がないことも確かだ。
WX01からの主な変更点は下記の通りだ。
・デザイン
・バランスモード搭載
・直近3日間の通信量の表示
<▲図:WX02の前面と背面。デザインは至ってシンプル> |
バランスモードについては前述した通り、通信速度は落ちるが連続駆動時間はのびる。普段、Webサイトの閲覧やSNS程度しか使わないのであれば、バランスモードで十分だ。一方、動画配信サービスで動画を視聴する機会が多い方はハイパフォーマンスモードの方がいい。
<▲図:ホーム画面では月間のデータ量を表示する> |
<▲図:ボタンを押すと3日間のデータ量が表示される> |
直近3日間での通信量の表示というのは、写真の通りだ。月間でのデータ量表示に加えて、直近3日間でのデータ量も本体のディスプレイで確認できるようになった。これは、WiMAX 2+において直近3日間で3GBを超える通信を行うと翌日1日間速度制限がかかるため。これは料金プランが「通常プラン」であっても「ギガ放題プラン」であっても変わらない。その目安としての表示だ。
ちなみに速度制限がかかるのは翌日なので、3GB以上、例えば100GBの高速通信を行っても構わない。その代わり、「直近3日間で3GB超」と言う条件を満たさなくなるまで速度制限が解除されないので、最大で3日間速度制限が続いてしまう。3GBを少し超えた程度であれば、1日で条件を満たさなくなるので、速度制限期間は1日間で済む。
WX01との違いはこれだけなので、もし安価にWX01を購入できるのであれば、今でもWX01で構わないと思う。
<W01/W02との違い>
W01/W02との違いは下り最大220Mbpsへの対応を4x4 MIMOで行うか、キャリアアグリゲーションで行うか、という点と、W01/W02はWiMAXに非対応である代わりに、au 4G LTEをサポートする点。au 4G LTEの利用にはオプション料として、使用月のみ1,005円が掛かるが、いざという時にau 4G LTEを使えるという安心感がある。
<▲図:W01やW02はWiMAX 2+とau 4G LTEに対応している> |
では、4x4 MIMOとキャリアアグリゲーション、どちらがいいのか? と言うと、これまで各機種を使ってきた感じでは筆者の生活圏ではW01/W02の方が100Mbps超の超高速が出やすい印象だ。ただし、エリアによっては逆の現象が起きる可能性もあるので、その点は気をつけてほしい。今のところ、筆者はWX01/WX02では80Mbpsほどの速度を体験したことはあるが、100Mbps超はない。一方でW01/W02では150Mbps超の速度が出たことがある。
<▲図:これは電車で測ったデータ。Macbook AirとのWi-Fi接続時。USB接続していればもう少し出る> |
結局、エリアと技術の特性による違いが大きい。4x4 MIMOは4つのアンテナで同時通信して速度を上げる技術なので、4つのアンテナでキチンと電波を掴む必要がある。そのため、反射波が生じやすい屋内など壁のあるところの方が超高速が出やすい。筆者がWX01/WX02で80Mbps超が出たのもスーパーの中だ。一方、W01/W02が採用するキャリアアグリゲーションは純粋に電波状態が良ければ超高速がでる印象だ。もしくは同一基地局内に多くのユーザーがいない場合など。
<WX02の感想>
千葉県北西部から東京エリアを生活圏としている筆者の場合、結局のところW01/W02の方がWX01/WX02よりも速度が出やすいので、WX01/WX02はなかなか勧めにくい。とはいえ、WX01/WX02も20-30、場合によっては40Mbps程度であれば普通に出るので、実は普段使う分にはW01/W02でもWX01/WX02でも体感的には特に問題ない。
ただ、前述したように通信速度はエリアによって異なるので、もしかしたら都内のマンションに在住の方などの場合、キャリアアグリゲーションのW01/W02よりも4x4 MIMOのWX01/WX02の方が速い、ということもあるのかもしれない。それは郊外に住む筆者の場合は分からない。
また、W01との比較で言えば、ハイパフォーマンスモード時のバッテリーの減りはあまり変わらないように感じるし、スタミナ性能は同じ感じだが、バランスモードでは確かに少し長持ちする。
もしバランスモードの速度が不十分だと感じる場合はハイパフォーマンスモードにすべきだが、十分であればバランスモードの方が実用的だろう。ハイパフォーマンスモードだと、朝昼晩の時間帯にそれぞれ連続して1、2時間ほど使う場合、バッテリーの持ちが結構厳しい。
結局のところ、現時点ではWiMAX 2+に対応したモバイルWi-Fiルーターの選択肢はWX02かW02という状況だが、地方都市や郊外に住む方にはW02、大都市に住む方はWX02かW02、旅行や出張などで地方へ出かける機会が多い方にはau 4G LTEも使えるW02、NECブランドやWX02のデザインを好む方やバッテリー交換ができると言う点を重視する場合にはWX02、という勧め方になるのではないかと思う。
<WX02の販売キャンペーン>
WX02を購入するルートはいくつかある。家電量販店でもいいし、ネットでもいい。ネットの場合は、UQコミュニケーションズが運営するUQオンラインショップか、UQ WIMAX/WiMAX 2+の回線を使ってサービスを展開するMVNO各社(GMOとくとくBBやソネット、ビッグローブ等)が選択肢に挙がるが、こちらの場合はそれぞれ特典が用意されているので、特典内容で選んでもいい。
例えば、ソネットの場合は「ギガ放題プラン」でも月額2,980円で利用できるという特典か27,000円キャッシュバックを選べる。
GMOとくとくBBでは34,000円キャッシュバック(クレードルセットの場合は28,350円キャッシュバック)や月額料金が2,760円からという特典などを選べる。ビッグローブでも最大26,000円キャッシュバック特典が用意されている。
MVNOの選択基準はサービス事業者自体の好みや印象、特典、途中解約時の違約金などになると思う。
ちなみに、auスマートフォン/ケータイのユーザーであれば、「auスマートバリューmine」という割引サービスも利用できる。これはどのMVNO事業者で契約・購入した場合でも構わない。最大934円、月々のau携帯電話の利用料金が安くなるのでお得だ。
【情報元、参考リンク】
・【レポート】意外と詳しく知らないWiMAX 2+の直近3日間での3GB超えによる速度制限を解説。1日で数十GBの高速通信をすることも可能
・W01の紹介記事
・W01の取材レポート記事
・W01が最大でどれくらいの速度が出るか調べたレポート記事
・W01のレビュー記事
・WX01の紹介記事
・WX01の試用レビュー記事
・WX02の紹介記事