メタルバンドはこのようにコマを外して長さを短く調節することができる。 |
当初の予定では第2回では機能面を紹介しようと考えていたが、急遽変更し、今回はメタルバンドの長さを調節する方法を取り上げたいと思う。というのも、本革バンドだと穴がいくつか空いているのでバンド自体の長さを調節する必要はないが、メタルバンドだと大抵の人が長さを調節しなければならないからだ。筆者の場合も標準状態ではスカスカなので、長さを調節しなければならなかった。
標準状態だとこんな感じでスカスカだ。 |
ZenWatch 2が使うバンドは一般的な腕時計と同じ形式なので、バンド幅さえ合えば取り付けられる。WI501Qシリーズは22mm幅のバンド、WI502Qシリーズは18mm幅のバンドを使っている。
特殊なバンドではないので、WI501Q-GM04に付属のメタルバンドの長さ調節も時計屋さんでやってもらうことができる。自分でやるのが不安だったり、面倒だという場合は時計屋さんでやってもらえばOKだ。1,000円前後の金額で調節してもらえるだろう。
しかし、実は調節作業は簡単なので、ちょっとした工具があれば自分でもできる。別の意味で時計屋さんに行くのが面倒だという方は、工具を用意して自分でやってみよう。今回の記事ではそれを紹介していきたい。
まず、ZenWatch 2のメタルバンドには長さ調節用に脱着可能なコマが10個用意されている。内側の面に矢印が刻印されているコマが取り外し可能なものだ。このコマを自分の腕のサイズに合わせて外せば長さ調節は完了する。そして、コマとコマは細いピンで固定されているだけなので、ピンを抜けば外すことができる。
必要な工具はピン/ピン穴に合った直径の「バンドピン抜き棒」を用意するだけ。あとは作業中にバンドを固定できる台や小型のハンマーがあればいいが、その2つは無くても何とかなる。
正確に測ったわけではないが、ZenWatch 2のメタルバンドのピンの直径は1.0mmのようだ。
今回筆者が購入した工具には3サイズのバンドピン抜き棒が同梱されていたので、全て試してみたが、1.0mm径のバンドピン抜き棒でも大丈夫だった。しかし、作業してみた感じでは使うのは0.8mmや0.9mmのバンドピン抜き棒の方がいいように思う。コマとコマの接合部にはピンを固定するための小さな筒状のパーツが入っているが、1.0mmのバンドピン抜き棒を使うと、下手するとそのパーツの端面を傷付けてしまう可能性があったので、0.8mmくらいがベストだと思う。
また、叩ければ何でもいいので小型ハンマーはなくてもいいが、作業しやすいのは確かだ。バンド本体を傷つけないよう、ハンマーのヘッドは樹脂のものがいい。金属ヘッドのハンマーしか無い場合は、布などを巻いておけばいいだろう。
前置きが長くなったが、以下、流れを紹介していきたい。
まずは標準状態の確認から。私の場合、上の写真のようにかなりスカスカだったので、何個かコマを外す必要がある。
「時計バンド工具セット MWB-20N」のパッケージ |
今回購入した工具セットはこちら。「時計バンド工具セット MWB-20N」(角利産業)というもので、Amazon.co.jpで購入した。この工具セットで全く問題なかったが、本当に必要なのはバンドピン抜き棒(0.8か0.9か1.0mm)だけなので、コストを抑えたい場合はバンドピン抜き棒だけを買って、他は別の何かで代用してもいいだろう。
工具セットの中身。色々な工具が入っているが、実際に使うものは少ない。 |
このセットには0.8mm、0.9mm、1.0mmと3サイズのバンドピン抜き棒、ミニハンマー、ピン抜き器、精密ドライバー、ラジオペンチ、バネ棒はずしが収められているが、バンドピン抜き棒とミニハンマー、ピン抜き器以外は使わなかった。また、ピン抜き器はピンを抜くときにバンドを置く台として使ったが、バンドが弧を描いた形状をしていて真っすぐにはならないので、しっかりとは固定できない。それでも慎重にやれば全く問題ない。抜けたピンが落ちる穴が用意されているので、それだけでも十分に役立つ。
今回使うのはこの3つの工具。 |
バンドピン抜き棒はピンの径違いで3つある。2本の棒には、ピンと逆側(頭の方)にラインがあると思う。 ラインが無いものが0.8mm、ライン1本が0.9mm、ライン2本が1.0mm。 |
まずはZenWatch 2本体からバンドを外す。これは工具無しで手だけでできる。本体とバンドの固定にはバネピンが使われていて、小さなレバーが付いているので、それをスライドすれば簡単に外せる。バネピンはポロッと落ちてしまい易いので失くさないように気をつけよう。
小さなレバーがあるのが分かると思う。 |
本体とバンドを外した状態。上に2本のバネピンを置いている。失くさないようにしよう。 |
次にバンドのコマを外す作業だが、バンドの内面を見ると、矢印が刻印されたコマが片側5個ずつ計10個あることに気付くと思う。矢印の向きにピンを叩けばピンが抜けるようになっている。
矢印が刻印されたコマが長さ調節用に脱着可能なもの。 全部で10個あるので、長さを10段階調節できることになる。 |
調節用のコマの側面にはピン穴があり、固定用のピンが入っている。 |
ピン抜き器の穴が空いた部分の上にピンの位置が来るようにバンドを置き(キチンとした固定はできないが、手を添えて安定させる)、ピン穴の上にバンドピン抜き棒をあて、ミニハンマーの樹脂ヘッドで少しずつ叩いていく。しばらく叩くとピンが抜け落ちる。
ピン抜き器の左側の方に穴が空いているので、そこにピンを落とすイメージでバンドを置く。 ピン穴にはバンドピン抜き棒をあて、頭をミニハンマーで少しずつ叩いていく。 |
これはピン抜き作業途中の写真。こんな感じでピンが入っている。 |
ピンが抜けたら、バンドを軽くカチャカチャ動かしてみよう。ピンを抜いた部分を境にバンドが分割される。コマがどのように接合されていたのか分かると思う。あとは隣のピンも抜けば、コマを1つ外せる、というわけだ。
ピンを抜き、バンドの接合が取れたところ。 |
ピンの設計は凝っていて、両端がちゃんとガンメタルカラーになっている。
ピンの両端はガンメタルカラーで塗装されている。 |
コマを3つ取ったところ。ピンとコマは失くさないように保管しておこう。 |
順にピンを抜いていけばコマが外せるので、自分の腕のサイズに合わせて外していくわけだが、腕の太さは皆違うので、外すコマの数も人それぞれ。筆者の場合はとりあえず中央の留め金を境に片側1個ずつの計2個を外してみた。ところが、それでもスカスカだったのでさらに2個を外した。すると、今度は少しキツい気がしたので1個付け直した。しかし、またスカスカになってしまった。そこで、もう一度1個外して、計4個外した状態に戻した。なぜか、さきほどよりキツく感じない。もう1個外すことも可能かもしれない、と思い、さらに1個外した。計5個外した状態だ。しかし、さすがにガチガチにキツくなってしまったので1個付け直した。最終的に、4個外した状態で完了としたが、それはこの記事用の写真を取った後のことで、この記事では3個外した状態の写真を使っている。着け心地の確認とやり直しに時間が掛かったことが分かると思う。
適切だと思う数のコマを外したら、今度は分割されたバンドを接合しなければならない。矢印と逆の方向からピンを穴に入れていけば接合される。ある程度の深さまでは手の力だけで簡単に入る。残りはミニハンマーの樹脂ヘッドでトントンと軽く叩いていく。叩き終わってもピンの頭が少し飛び出ているかもしれない。その場合はバンドピン抜き棒を当て、軽くミニハンマーで叩く。すると、ピンの頭を穴の中に完全に押し込め、綺麗に収まる。
矢印の向きとは逆向きにピンを挿入していく。写真の場合は上からピンを入れている。 |
ハンマーで叩いただけではピンがほんの少し飛び出たり、端面とツラになるので、少し押し込みたい。 そのときはバンドピン抜き棒を当ててハンマーで軽く叩けばいい。 |
下の写真はコマを3つ外した状態だ。コマとピンはまた使うかもしれないので大切に保管しておこう。ちなみに筆者は前述したようにこの後も調節を何度かやり直し、最終的にはコマを4個外した状態で使っている。長さが適切かどうか確認するときは、腕や手首を動かしたりして様々な動きの中で違和感がないか確認した方がいい。手首の状態や腕に入っている力の状態などで手首の太さも変化するので、色々な動きをしながら確認するのがベストだろう。
メタルバンドは指が一本入るくらいの隙間があった方がいいとか、留め金を境に長さが非対称になるときは文字盤でいう6時側を短めにする方がいいとか、調節に関して色々なガイドがあるようだが、結局のところ好みだと思うので、何度も試してみて、しっくりするコマ数で合わせてほしい。個人的にも若干緩めの方がいいと思うが、ガッチリ固定する方が好きな人もいると思う。
しかし、長さに関してプロによる適切なアドバイスを得たい場合は、時計屋さんで調節してもらう方がいいだろう。
コマを3つ外した状態。奇数個外すと、 中央の留め金に対して左右対象ではなくなってしまうが致し方ない。 |
コマを3つ外した状態のZenWatch 2。 |
下の写真だとガチガチに見えるかもしれないが、実はこの状態でも本当はゆとりがありすぎて、この後にもう1個コマを外した。筆者の場合は、計4個外した状態が一番しっくりした。その状態でもゆとりは若干あり、ZenWatch 2を手の甲側に移動させられるくらいの感じだ。
コマを3個外した状態 |
何回調節してみても合わないとか、違和感を感じるというのであれば、ガンメタルのバンド自体が合わない可能性があるので、本革バンドや市販のバンドに交換してしまおう。ASUS純正のバンドはWI501Qで3種類、WI502Qで3種類用意されていて、いずれも単品で購入できるので、それを購入するか、市販の腕時計用のバンドを使えばいい。
今回の記事で分かると思うが、メタルバンドが同梱されるモデルの場合、バンドの長さ調節が必要になってくるので、その点には注意してほしい。
次回は機能面などをみていきたいと思う。
- 第1回:概要、仕様、パッケージ、付属品、本体外観など
- 第2回:メタルバンド(金属ベルト)の長さを自分で調節する
- 第3回:機能や使い勝手、ウォッチフェイスなどをチェック!
- 第4回:便利な機能や魅力、不満点、約1ヶ月間使ってみての感想など
下はAmazonでの商品リンク。具体的な発売日はAmazonで確認することもできる。上3つがWI501Qで、下3つがWI502Q。
【情報元、参考リンク】
・ASUS公式オンラインショップ「ASUS Shop」
・ZenWatch 2、ZenFone 2 Laser 6インチモデルの発表記事