HTC Desire 626のマリーンブルーモデル |
HTC Desire EYEの端末レビューはこちらの記事を参照して頂くとして、本記事ではHTC Desire 626を紹介したいと思う。
<基本仕様のおさらい>
HTC Desire 626もHTC Desire EYEと同様にSIMフリーなので対応する通信方式での通信サービスを提供している会社のSIMカードを利用できる。GSM/EDGEのほか、LTEとW-CDMAに対応し、LTEはFDD方式で700/800/850/900/1800/2600MHzをサポートする。例えば国内ではNTTドコモとソフトバンク(Y!mobile含む)のネットワークで利用可能だ。そのため、それらの回線網を利用しているMVNOサービス(格安SIM/格安通信サービス)を利用することができる。国内の対応通信事業者のリストは下記ページに記載されているので詳しくはそちらを参照してほしい。SIMカードサイズはnano SIMだ。
→HTC Desireシリーズ 実装対応周波数帯一覧
OSはAndroid 5.1で、CPUはQualcomm MSM8916(1.2GHzクアッドコア)、メモリは2GB RAM、16GB ROM、ディスプレイは約5インチのHD液晶(1,280×720ドット)、メインカメラは約1300万画素、インカメラは約500万画素、Wi-FiはIEEE802.11b/g/n(2.4GHz)、バッテリー容量は2,000mAh、本体サイズは約146.9×70.9×8.19mm、重さ約140gといったところ。HTC Desire EYEと違い防水防塵仕様ではない。
左がHTC Desire EYE、右がHTC Desire 626。 それほど大きなサイズ差ではないがやはり626の方が扱いやすいサイズだ。 |
<外観>
左がHTC Desire EYEで右がHTC Desire 626。デザインの基本的特徴は同じだ。 |
外観の基本デザインはHTC Desire EYEと似ているが、質感はやはりHTC Desire EYEの方が上だ。とはいえ、HTC Desire 626はカラーによっても質感が異なり、マカロンピンクよりもマリーンブルーの方が落ち着いた印象を与える。これは表面仕上げが異なることが影響しており、逆にマカロンピンクの方が摩擦があって滑りにくく持ちやすい。マリーンブルーモデルはHTC Desire EYEと同じような印象を与えるつや消しカラーなので、特に安っぽくは感じないと思う。
両方ともHTC Desire 626。左がマリーンブルーで右がマカロンピンク。表面の仕上げが異なる。 |
サイズはHTC Desire EYEと比べてコンパクトなので、片手操作もしやすい。筆者の手のサイズは男性では平均的だと思うが、手にちょうどよく収まるので、大抵の方は持ちやすい、と感じると思う。形状的にもしっくりくるので、女性でも持ちやすいと思う。
右側面にはボリュームキーと電源キーがあるが、ボタンのパーツのカラーが若干異なり、デザイン上のアクセントになっている。電源キーはメタリックカラーだ。
右側面には電源キーとボリュームキー |
電源キーはカラーが少し異なり、メタリック風。 |
左側面にはSIMカードスロットとmicroSDカードスロットがある。SIMカードスロットは一見2つあるように見えるが一つは潰されているのでシングルSIM仕様だ。
一見3つスロットがあるように見えるが、真ん中は潰されており使えない。左がmicroSD、右がSIM。 |
前面にはインカメラとスピーカーがある。インカメラは約500万画素で、LEDフラッシュは搭載されていない。また、上と下にある8つの穴が並んだ場所は、上側が通話専用のスピーカー(受話口)で、下側が音楽や動画視聴、ゲームなどのサウンドを鳴らすスピーカーとなっている。要するにHTC Desire 626のスピーカーはモノラルだ。
HTC Desire 626の前面。ディスプレイサイズは約5インチで解像度は1280×720ドット。 インカメラにはLEDフラッシュはない。 |
背面には左上に約1300万画素のメインカメラ、LEDフラッシュが搭載されている。
背面中央にはhtcのロゴ。左上にメインカメラ。リング部分が周囲に対してほんの少しだけ凸になっている。 |
上面にはオーディオ端子、下面にはmicroUSB端子がある。
上面にはオーディオ端子。 この写真だとメインカメラのリング部がほんの少ししか凸になっていないことも分かると思う。 |
下面にmicroUSB端子。HTC Desire EYEと同じく中央ではなく右に寄っている。 |
<基本性能と熱>
基本性能についてはベンチマークスコアは「AnTuTu」で約22,000前後と、HTC Desire EYEの半分程度だが、体感パフォーマンスは悪くない。ASUS ZenFone 5もそうだが、スコアはハイエンド端末と比べて劣っていても体感パフォーマンスは悪くない。HTC Desire 626はブラウザを使ったりSNSアプリを使ったり、カメラで写真撮影したり、といった基本的な動作は十分快適に動く。驚くほどの速さではないが、ストレスを感じるような速度でもない。
HTC Desire 626のベンチマークスコアは22,000前後 |
そして、とても嬉しいのはほとんど熱くならないことだ。日常使っていて熱くなることは基本的にない。せいぜいゲームを長時間プレイするときくらいだろうが、それでも他機種と比べると優しいもので、安心して使える。発熱の少なさはとても大きな魅力だと思う。
<プリインストールアプリと基本機能>
HTC Desire EYEと同様、プリインストールアプリはシンプル。HTC製アプリとGoogle製アプリ以外は「Polaris Office 5」「Facebook」など数点に留まる。購入直後に不要アプリのアンインストールをせっせとする必要はない。
プリインストールアプリはかなりシンプル。
カメラ関連の「Zoe」や「フォトエディター」はHTC Desire EYEだけでなくHTC Desire 626にも入っている。ハイライトを作ったり、写真の加工が可能だ。「らくらくスマートフォン」系のシンプルなホームにできる「らくらくモード」、子供向けの「Kid Mode」も搭載する。
UIは「HTC Sense 7.0」で、HTC Desire EYEと同じ。数え切れないほどの数のテーマや壁紙、アイコン、サウンドなどを利用できるので、様々なスタイルにホーム画面をカスタマイズできるようになっている。ホームのカスタマイズ性の良さはHTCの端末の魅力の一つだろう。
ホーム画面のカスタマイズ素材は非常に多い。
また、HTC Sense 7.0ではナビゲーションボタンのカスタマイズもできる。これはかなり便利だ。筆者は左から順に「戻る」「ホーム」「最近使用したアプリ」「自動回転」の4つにしている。「自動回転」をナビゲーションボタンとして表示することで、手軽にオン/オフできるので、例えば仰向けで寝転がってスマートフォンを触っている時などに便利だ。
ナビゲーションボタンのカスタマイズができるのは便利だ。
<オーディオ、カメラ>
HTC BoomSound対応デュアルステレオスピーカーを搭載するHTC Desire EYEと違い、HTC Desire 626はモノラルスピーカーで、HTC BoomSound機能もない。さすがにスピーカーの性能はHTC Desire EYEと比べると劣るが、ヘッドホン/イヤホン使用時の音は悪くない。これはHTC Desire EYEだけでなく、他のSIMフリースマートフォンと比べてもそうで、ウォークマン代わりとして使う機種として良い方だろう。
スピーカーはモノラルなので、下側(この写真だと右側)からしか音が出ない。 |
カメラの撮影モードはHTC Desire EYEより2つ少ない。「クロップミーイン」と「スプリットキャプチャ」はなく、「自分撮り」「カメラ」(標準モード)「パノラマ」「フォトブース」の4つだ。モードに関してはこれで十分。「自分撮り」ではリアルタイムでの美肌効果の適用・確認はできないが、後からはできる。
カメラモードは4つ |
写真撮影の綺麗さはHTC Desire EYEの方がやはり上だが、HTC Desire EYEは絵作りが少し明るくキツくなる印象もあるので、HTC Desire 626の特性を好む方もいるかもしれない。特別綺麗に撮れることはないが、普通クラスなので、問題ないだろう。
また、HTC Desire 626にはカメラボタンはないが、設定でボリュームボタンをシャッターボタンやズームボタンとして使用できるようにできるので便利だ。
ボリュームボタンには撮影(シャッター)やズームを割り当てることができる。 |
<バッテリー>
搭載バッテリーの容量は2,000mAhと、それほど大容量ではないが、普通に2日、3日は持つ印象だ。あまり使わないときは3日、普通に使っても2日は持つと思う。ただ、「あまり使わない」とか「普通」というのは筆者の感覚的なもので、人によって異なる。それでも他機種と比べて特に持ちは悪くないと思うので、誰が使っても少なくとも不満を言うレベルではないだろう。
<センサー類>
HTC Desire 626を語る上で、センサー類には触れておきたい。HTC Desire EYEの場合はフル装備なので問題ないが、HTC Desire 626は低価格を実現するために随所でコストカットを行う必要があり、搭載センサーも最小限にとどめられている。公式スペック表では、加速度センサー、近接センサー、環境光センサー、磁気センサーを搭載しているとある。しかし、注意したいのは、ここで言う磁気センサーとは純正アクセサリー「ドットビューケース」用だということ。ドットビューケースのオープン/クローズを認識させるための磁気センサーであり、それ以外の機能はない。そのため、この点で勘違いをしないことが肝心だ。
そして、電子コンパスが搭載されていないので、Googleマップで現在自分がどちらの方を向いているのかを示す「▲」マークが表示されない。電子コンパスを活用するアプリでは本来の機能を発揮できない可能性があるので注意してほしい。
ただ、勘違いするかもしれないが、電子コンパスが無くてもGoogleマップのルート検索やカーナビ機能は利用できる。電子コンパスがないとカーナビ機能は使えないのでは? と思うかもしれないが、一応使えるので心配しなくても大丈夫だ。交差点で徐行している時や停止している時などにGoogleマップのカーナビが方向に迷うシーンもあるが、走り始めれば大丈夫なので、実用上は特に大きな問題が生じることはないとも思う。
<全体的な感想>
HTC Desire 626はHTC Desire EYEと同様、バランスよく仕上がっている。全体的なレベルはさすがに値段が高い分、HTC Desire EYEの方が上だし、予算に余裕があればHTC Desire EYEを薦めるが、HTC Desire 626もよく出来ている。日常用途には十分なスピードとパフォーマンスで、ボディも持ちやすく操作しやすい。特にほとんど発熱しないところは嬉しいし、その点ではHTC Desire EYEにも勝る。オーディオ端子経由(ヘッドホン/イヤホン)で音楽を聴く際には音も悪くないのでウォークマン代わりにもなる。
また、エントリーモデルながらNFCに対応しているのも魅力の一つだろう。意外と低価格スマートフォンではNFCに対応していないので、差別化できるポイントの一つだろう。
ネックは値段がもう少し安くてもいいのかな、と思う点だが、購入前後問わず無料の電話サポートが付いているので、人によって判断が異なると思う。スマートフォンの扱いに自信がない方は、使い方の相談も無料でできるので、大きな魅力だと思う。もう一点は電子コンパスを搭載していない点。前述したように、電子コンパスの搭載を前提としたアプリでは不自由がある可能性があるので注意したい。
結局のところ、ほとんど文句のない仕上がりのHTC Desire EYEと違い、HTC Desire 626は価格を低く抑えた分、一部に妥協点が出てくるのは致し方ない。そうは言っても、基本パフォーマンスには優れており、体感的にストレスを感じにくいレベルに仕上がっている。そのため、この価格帯でオーソドックスなスマートフォンを望む方にはオススメできる機種の一つだと思う。
関連記事は下記。
- HTC Desire EYEと626イベント取材レポート
- HTC Desire EYEレビュー前編
- HTC Desire EYEレビュー後編
- HTC Desire 626レビュー:機能・性能・感想など
- HTC Desire 626レビュー:パッケージ、付属品など
- Spigen STYLE RINGをHTC Desire EYEで試す
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【情報元、参考リンク】
HTC公式通販サイト「HTC e-Shop」