ついにキャリア契約のSIMを入れて通信…!! |
それはさておき、前回のスマホ講座では、SIMロックフリー端末を大手キャリアの契約で使うための「下準備」について解説しました。今回は、実際にSIMロックフリーのAndroidスマホ・タブレットで大手キャリア回線を使うための設定をしていきます。
■接続に必要な「APN(アクセスポイント名)」って何?
皆さんは「APN」という言葉を聞いたことがありますか?
APNは「Access Point Name」の略で、携帯電話がパケット通信を行う際に接続するアクセスポイントの名前のことです。大手キャリアのAndroid端末の場合、ドコモなら「spモード」、auなら「LTE NET」と「LTE NET for DATA」のものがプリセットされています。ソフトバンクの場合は、端末ソフトウェアの設定によって見えないようにされていますが、「S!ベーシックパック」のAndroid用APNがしっかりプリセットされています。
ARROWS M01(イオン販売分)にプリセットされたAPN |
では、SIMロックフリー端末はどうなのか、というと、端末、もっと言うと端末の販売ルートによってプリセットされているAPNが異なります。完全に自由流通のもとに販売されているものなら、ドコモの「mopera U」や、ドコモ回線を借りる主要なMVNO(仮想移動体通信事業者)のAPNが一通り設定済みであることが多いです(※)。しかし、上の画像のように、販売先によっては、その販売者が取り扱っているMVNOのAPNのみプリセットされていることもあります。
このAPNを正しく設定し、選択することで、初めてAndroid端末はネット接続できるようになるのです。
(※)プリセットするAPNを、SIMカードのオペレーターID(発行キャリア固有のコード)に応じて変えるAndroid端末もあります。ARROWS M01(イオン販売分)の場合、ドコモminiUIMカードを挿入すると、上記のAPNがプリセットされますが、海外のSIMカードを挿入すると、APN一覧が初期段階で空欄になります。
■APNの設定方法
では、APNを設定しましょう。まず、端末設定を開きましょう。ここから先は、端末によって項目名や項目のある場所が異なるので、ARROWS M01を例に解説します。
端末設定を開いたら、「無線とネットワーク」項目にある「モバイルネットワーク」を開きます。ARROWS M01の場合は、無線とネットワークの「その他」をタップすると、次の画面にモバイルネットワークの項目があります。
「無線とネットワーク」から「モバイルネットワーク」を選ぼう
次の画面に行ったら、「アクセスポイント名」をタップすると、セット済みのAPN一覧が表示されます。先ほども書いたとおり、このARROWS M01(イオン販売分)では、イオンで取り扱っている「BIGLOBE LTE・3G」「b-mobile」「IIJmio」のAPNのみプリセットされています。ラジオボタンが入っているものが、現在設定されているAPNです。ここに無いAPNを追加する場合は、画面右上のプラスボタンを押すとAPNの設定画面にジャンプします。
「アクセスポイント名」を選んで、次の画面のプラスボタンをタップする
次の画面では、新規登録するAPNの情報を入力していきます。登録が必要なのは、下の画像に示した6項目です。それぞれタップすると入力または選択できます。以下に、ドコモの「mopera U」、auの「LTE NET for DATA」、ソフトバンクモバイルの「アクセスインターネットプラス」の設定方法を例示します。
アクセスポイントの編集画面で入力が必要なフィールド
▼ドコモとauのAPN設定
mopera U (3G/LTE共通) | LTE NET for DATA | |
① 名前(※1) | mopera U | LTE NET for DATA |
② APN | mopera.net | au.au-net.ne.jp |
③ ユーザー名 | 不要(※3) | user@au.au-net.ne.jp |
④ パスワード | 不要(※3) | au |
⑤ 認証タイプ | 未設定でOK(※4) | CHAP |
⑥ APNプロトコル(※2) | IPv4のままでOK | ← |
▼ソフトバンクのAPN設定
アクセスインターネット SoftBank 4G用(LTE端末) | アクセスインターネット SoftBank 3G用 | |
① 名前 | アクセスインターネット | アクセスインターネット |
② APN | plus.4g | plus.softbank |
③ ユーザー名 | plus | ← |
④ パスワード | 4g | softbank |
⑤ 認証タイプ | 未設定でOK(※4) | ← |
⑥ APNプロトコル | IPv4のままでOK | ← |
(※1) 自分にとって分かりやすい名前でもかまいません。例えば、「もぺらたん」とか(
(※2) mopera UとLTE NET for DATAであれば、「IPv4またはIPv6」に設定すると、IPv6を使ったサイトにもアクセスできるようになります。ただし、mopera UでIPv6サイトにアクセスする場合、別途、設定ページでIPv6利用手続きを行う必要があります。
(※3) mopera U契約時に付与されたID・パスワードを入れても構いません。`
(※4)未入力でどうしてもつながらない場合は、「PAPまたはCHAP」を選んでみて下さい。
設定が完了したら、メニューキーを押し、保存をタップしましょう。こうすることで、APNの一覧に表示されるようになります。
設定が完了したら必ず保存 |
保存すると、APN一覧画面に戻ります。そこで先ほど設定したAPNを選択すると、アンテナピクト部に「LTE(または4G)」や「3G」の表示が出ます。これらの表示は、パケット通信の接続が確立できたことを示しています。要するに、ネットにつながった、ということです。端末とネットワークの相性によっては、接続に時間がかかったり、3G→LTEの切り替えに時間がかかったりすることもありますが、15分ほど経ってもこれらの表示が出ない場合は、APN設定が正しいかどうか見直してみましょう。
APNを選択してアンテナピクトに「LTE(4G)」「3G」の表示が出ればOK |
これで、SIMロックフリースマホを、大手キャリア契約で使えるようになりました。今後、ドコモ以外でも、大手キャリア端末のSIMロック解除が本格的に始まります。その際にも、この手法は当然応用できますから、是非参考にしてくださいね!
記事執筆者プロフィール
せう
ブログ:せうの日記、Twitter:@shoinoue
静岡県三島市で産まれ、静岡県駿東郡長泉町で生まれ育ったアメリカ系日本人3世。見た目が日本人離れしている反動で、身の回りの道具は日本で開発されたものだらけである。ITmedia、andronaviを始めとするWeb媒体を中心に執筆活動を展開。自前のブログ「せうの日記」も宜しくお願いします。
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静岡県三島市で産まれ、静岡県駿東郡長泉町で生まれ育ったアメリカ系日本人3世。見た目が日本人離れしている反動で、身の回りの道具は日本で開発されたものだらけである。ITmedia、andronaviを始めとするWeb媒体を中心に執筆活動を展開。自前のブログ「せうの日記」も宜しくお願いします。
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本コラムは毎月第1・第3金曜日更新予定!
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