ZenFone 2。「他ではできない体験を。」がキャッチコピーのようだ。 |
<ボディ>
ボディは旧モデルのZenFone 5からは少し大きくなっているが、感覚的にはあまり変わらなかった。下の写真は右がZenFone 5で、左がZenFone 2だが、パッと見で大して変わらないことは伝わると思う。それでいて画面は大きくなり、左右と上のベゼルが狭くなっていることが分かる。
左がZenFone 2で、右が旧モデルのZenFone 5。 |
持ちやすさやフィット感についても、ZenFone 5とそれほど変わらず、「まあ普通」といった印象。背面がカーブしているので、確かに手のひらにフィットする形状。しかし、背面が結構ツルツルとしていて、意外と滑りやすい。それはZenFone 5の時とあまり変わらなかった。ZenFone 5もツルッと落とすことがたまにあるので、日常使う際には何らかのケースがあった方が滑りにくくていいと思う。
背面に配置されたボリュームボタンは左右どちらの手で持っても押しやすい。
背面はカーブしていて音量調整のボリュームキーはメインカメラ下にある。 (※ASUSロゴの下にある円筒状の物体は展示機を展示台に乗せておく時のために取り付けられたもの) |
背面のカーブに関しては下に掲載した上面、下面の写真からも分かると思う。
上面にはオーディオ端子と電源ボタン、下面にはmicroUSB端子
側面は至ってシンプル。エッジ部の厚さは約3.9mm。
カラーバリエーションはブラック、レッド、ゴールド、グレーの4色で、バランスの取れたラインナップだろう。性別、年齢問わず、どれか好みのカラーがあると思う。
左から順にブラック、レッド、グレー、ゴールド。 |
<性能・ディスプレイ・操作系など>
性能については、展示機でベンチマークアプリの「AnTuTu Benchmark」による測定を行ったところ、48,106というスコアが出た。これは展示パネルのスコアよりも高い数値で驚いたが、ベンチマークスコアからは相当パフォーマンスが高いことが伺える。ちなみに筆者が自分のZenFone 5で以前テストした時には18,146だったので、段違いであることが分かると思う(※ZenFone 5のレビュー記事参照)。
AnTuTu Benchmarkで48,106を記録。 |
展示パネルでは47,047が出たとPRされていたが、実際にはそれより少し高いスコアが出た。
ZenFone 2は「性能怪獣」という言葉で高性能という点がアピールされている。
ZenFone 2は「性能怪獣」という言葉で高性能という点がアピールされている。
とはいえ、ZenFone 5が18,000程度のスコアでそれなりに快適なスマートフォンだったことを考えれば分かるように、体感パフォーマンスは必ずしもスコアと一致しない。例えばスコアが良くても体感的にもっさりしている機種も世の中には存在するからだ。それでもZenFone 2は軽く触った感じでは極めてスムースだった。
ただし、さすがにAtom Z3580と4GB RAMによる恩恵をジックリと感じるまでには至らなかった。基本的にメニュー操作やChromeを使ったりと、ちょっとしたアプリを使うといった操作は快適だが、おそらくZ3580と4GB RAMの威力を確認するには美麗なグラフィックスを採用した、処理が重いゲームなどをしてみるしかないだろう。おそらく、そういったゲームも問題なく動くとは思う。
ちなみにZenFone 2では、ネットワークはLTEの下り最大150Mbps、Wi-Fiでは11acに対応して最大433Mbpsでの通信ができる。Wi-Fiの対応規格はIEEE802.11a/b/g/n/ac(2.4GHz、5GHz)なので、家などではacの5GHzを使えば安定して高速での通信ができるだろう。モバイル通信の対応周波数は下記の通り。カッコ内はバンド。
- LTE:2,100(1), 1,900(2), 1,800(3), 1,700/2,100(4), 850(5), 800(6), 900(8), 1,700(9), 800(18), 800(19), 700(28) MHz
- W-CDMA(HSPA+): 2,100(1), 1,900(2), 850(5), 800(6), 900(8)MHz
- GSM/EDGE: 850/900/1,800/1,900MHz
ディスプレイは約5.5インチのフルHD液晶を採用と、ZenFone 5の5インチHD液晶から大型化&高精細化されたが、こちらは嬉しいポイント。明らかに綺麗になっている。ZenFone 5のHD液晶でも実用上は特に問題なかったが、やはりフルHDの方が文字も写真も何もかもより綺麗に見える。
OSはAndroid 5.0(Lollipop)で、UIにはASUSの「ZenUI」を採用しているが、デザインはオーソドックスでレスポンスも快適。特に引っかかる点はなかった。ちなみに「戻る」「ホーム」「マルチタスク」キーはZenFone 5と同じくタッチキーで用意されている。ディスプレイ内にソフトウェアキーとして表示するタイプではなく、独立したキーが用意されているので、画面を目一杯使えていい。
軽く触った程度だが、基本的に引っかかりなくスムースに快適に動いた。
一つ不便になったのは通知バーの引き出し。画面上から下にフリックすると通知バーを引き下ろせるのはAndroidの共通機能で、ZenFoneでも同じだが、ZenFone 5では、画面の中央ラインから右側で下ろすと「クイック設定」、左側で下ろすと「通知リスト」と、引き下ろしの場所によって表示を変えられる、という地味に便利な機能があった。しかし、ZenFone 2ではその機能はカットされている。
通知バーを下ろしたところ。クイック設定などはZenFone 5と同じデザイン。
ちなみに画面の下から上にフリックすると「ホーム画面の管理」画面が表示される。これもZenFone 5と同様だが、設定アイコンの並び等は変わっている。
下部から上向きにフリックすると「ホーム画面の管理」画面が表示される |
<カメラ>
今回のZenFone 2の大きな特徴はスペック向上、ディスプレイの大型化&高精細化、そしてカメラ機能の進化、いくつかの便利機能の搭載などだが、カメラは確かに進化しているようだ。特にHDR機能は優秀に見えた。
会場には明暗差の大きなシーンを撮影できる撮影ブースが用意され、そこでZenFone 2と他のスマートフォンでの撮影を比べられるようになっていた。試しにiPhone 6のHDR撮影写真と比べたのが下の写真。通常、明暗差の大きなシーンでは、白飛びや黒潰れが発生し、何とも言えない写真になってしまう。HDRは「High Dynamic Range」の略で、露出が異なる写真を複数同時撮影し、それを合成することでそれらを防ぎ、白飛びなどのない写真を作りましょう、というもの。最近のスマートフォンには基本的に搭載されている機能だ。
HDRの比較。左がZenFone 2、右がiPhone 6。 |
端末の位置を変え、左がiPhone 6、右がZenFone 2。 |
今回、撮影ブースで試したところ、確かにZenFone 2のスーパーHDRモードというのは優秀そうだった。iPhone 6も普段使っている分には特に気になっていなかったが、ここまでライトが明るい環境だと、背景の雲がほとんど真っ白になってしまった上、青空まで一部が白くなっている。また、建物の暗い場所も色が潰れてしまっている。一方のZenFone 2では上手い具合に合成できていることが分かる。
ZenFone 2とiPhone 6の場所を左右入れ替えて撮った場合も同様に、ZenFone 2の方が上手く作れている。実際に日常出会う様々なシーンの全てでZenFone 2が上なのかというと、その判断はこの一例だけではつかないが、少なくとも悪いことはなさそうだ。
ちなみに、マニュアル撮影も面白い。直感的にダイレクトに設定変更でき、それをリアルタイムで画面上で確認できるので、マニュアル撮影も手軽に楽しめる。
マニュアル撮影ではホワイトバランスなどいくつかの点を直感的な操作で変更できる
話は脱線するが、展示会場ではZenFone 2のカメラ機能を紹介するVRコンテンツが用意されていて、VRゴーグルにZenFone 2をセットし、そのゴーグルを頭にセットすると、楽しめるようになっていた。下の写真はそのVRコンテンツを視聴中の一条氏と川俣氏。ちょっと不思議な図だ。
VRコンテンツを視聴中の一条氏と川俣氏。これでも仕事中だ。
<便利機能>
次に便利系の機能を見ていきたい。
まずは「キッズモード」。これはZenFone 2を短時間子供に使わせる場合や、子供に普段使いのスマートフォンとして持たせる場合などに使える機能。
これがキッズモードのホーム画面。ホーム上に並ぶアイコンは使用を許可したアプリのみ。 |
「キッズモード」の設定はPINコード(パスワード)を入力しないといじることができないので、親が管理できる。「キッズモード」では子供が使ってもいいアプリを選択したり、触ってもいい時間を設定したり、音声通話の着信をブロックできる設定などができる。
設計画面にはPINコードを入力しないと入れないようになっている。
例えば夕食までの時間、1時間くらいゲームで遊んでいいよ、というような場合は1時間設定にすればいい。また、普段使いの端末として渡す場合も、使っていいアプリを選択し、音声通話の着信をどの範囲で許可するか等を設定しておけば安心だろう。例えば家族からの着信のみOKとしたい場合には家族の連絡先を入れたアドレスグループだけを許可する、というようなことができる。
使用していいアプリや時間設定などができる
「片手モード」というのは最近はいくつかの機種で導入されている機能と似たものだが、ホームキーをダブルタップすると、画面全体を縮小したり、移動させることができるようになる。例えば左手だけで持っている時には画面を縮小して左下に移動すれば、片手でも操作しやすくなるはず。右手の場合は右下に移せばいい。縮小率はウィンドウ右上の▼マーク部をドラッグすれば簡単に変えられる。全画面に戻す時にはホームキーのダブルタップ。電車でつり革に掴まっている時などには重宝しそうだ。
片手モードでは画面全体を小さく表示し、好きな位置に移動できる。 |
表示位置を移動することもできる。
ホームキーをダブルタップすると元の全画面表示に戻る |
「簡単モード」という機能もある。これはシニア向けスマートフォンに搭載されているホームアプリと同じようなもの。文字やアイコンが大きく表示されるので、小さな字が見えにくい、といった場合に便利だ。ただし、あくまでもこういうデザインのホーム画面を利用できる、といった機能に限られ、「キッズモード」ほど多機能ではない。
「設定」メニュー内に「簡単モード」という設定があるので、そこでオンにすると下図のようなホームになる。
簡単モードのホーム画面。アイコンと文字が大きい。 |
「SnapView(スナップビュー)」は、通常のユーザー領域とは別に新しいユーザー領域を確保し、手軽に切り替えられる、というもの。例えば、プライベート用と仕事用を完全に分けてデータ管理したい場合などに使える。もしくは、他人に触らせる時用にもいいかもしれない。
SnapViewについて |
通常のユーザー領域とSnapView領域ではアプリのデータも別に管理されるので、例えばアドレス帳や各種アプリの履歴やデータも別々だ。切替はロック解除画面から行うので、一旦スリープし、そこから電源キーを押し、違うパターンでロック解除すればOKだ。実際に使うか、と言えば一般的ユーザーの場合はあまり使わない気がするが、こういう機能を使うシーンが考えられる方にはいいと思う。切替自体はスムース。
左が通常ユーザー、右がSnapViewでのログイン状態。
ホーム画面のアイコンの並びなども当然別々。
ホーム画面のアイコンの並びなども当然別々。
次は「ZenMotion」。これは何かというとディスプレイ上を指定の形でなぞれば一発で指定のアプリを起動できる、というもの。また、スリープ解除もできる。例えばスリープ時にディスプレイを2度タップするとスリープを解除できる。スリープ時にディスプレイ上で「W」の文字に指をなぞればブラウザが、「C」でカメラが、「S」でメッセージが、「Z」でメモリ解放、「e」でメール、「V」で電話が起動する。正直な話、それほど使う機能ではなさそうだと感じたが、2度のタップでスリープ解除、というのは便利かもしれない。
ZenMotionについて |
左のスリープ時の画面で「W」の字を指で描くと、スリープ解除後にブラウザが起動する。
便利系機能については一般的な大人のユーザーの場合、使いそうなのは「片手モード」と「ZenMotion」のスリープ解除くらいではないかと思うが、片手モードは便利なので、ぜひ覚えておきたい機能だ。また、「キッズモード」は携帯電話の操作が苦手なシニア層の方にもいいかもしれない。特に最近では振り込め詐欺など、不審な電話が掛かってくることもあるので、家族・親戚・友人・同僚などからの着信だけに制限してしまえば、安心して使えるはずだ。
<感想>
全体的な印象としてはZenFone 5よりも明らかに良くなっていることは確か。伊達にスペック向上していない、といったところ。今ZenFone 5を使っている方がZenFone 2に変更してもよいレベルだと思う。オーソドックスでソツなく出来ているのは他のASUS製品と同様で、ZenFone 2もモノとしては安心して使えるデキに仕上がっていると感じた。
結局、ネックは値段ではないかと思う。ZenFone 5の場合は、ROMが16GBのモデルが26,800円、32GBモデルが29,800円と、下位モデルでは26,800円という価格設定だった。今回は下位モデルですら35,800円なので、「格安スマホ」とは呼べなくなってきたように思う。さすがに今回のスペックで3万円を切ってくるのは難しいのだと思うが、ZenFone 2がどれくらい売れるのかは価格が鍵を握るような気がしてならない。
各モデルの選択に関しては、モノとしてのオススメはやはり最上位モデルか中位モデル。ただ、このモデルは5万円超えだ。ここも悩みどころ。また、現実的に4GB RAMが必要か、という話もあると思う。私は日頃、ゲームもプレイするが、それなりに重いゲームでも一応2GBメモリでも十分プレイできている。3GBあれば安心と言ったところだが、4GBなくてもZenFone 2は普通のアプリでは快適なので、多くの方は下位モデルでもよいように思う。もしくは中位モデルだろう。ROMに関してはmicroSDカードでストレージ容量を増やせばいい話なので、中位モデルの32GBでも十分なので、パフォーマンスを求めつつ少しでも出費を抑えたいならば中位モデルだろう。Webブラウザ、TwitterやFacebookなどのSNS、カメラでの写真・動画撮影、ちょっとしたゲーム、各種動画視聴などの用途であれば、先ほど述べたように下位モデルで十分だと思う。
ZenFone 2はモノとしては特に欠点が見当たらず、ソツなく、良くできていると思うので、MVNO各社で購入する際には安心して購入できる機種の一つだとは思う。
<キャンペーンや販売MVNO、販売店など>
中位モデル(Z3580/4GB RAM/32GB ROMモデル)、下位モデル(Z3560/2GB RAM/32GBモデル)は量販店では既に予約受付が開始されている。例えばヨドバシカメラ、ビックカメラ、Amazon.co.jpなど。上位モデルはまだ予約開始が始まっていない。下はAmazon.co.jpでのリンクで、メモリ、カラー等を選んで購入できる。
また、ASUSの公式オンラインショップ「ASUS ZenFone Shop」ではZenFone 2とView Flip Cover Deluxeを同時購入すると、先着1,000名にASUS ZenPowerがプレゼントされるキャンペーンが実施されている。
→ASUS ZenFone Shop
MVNOでの取扱いに関しては、前編で紹介した通り複数の事業者が扱うことが明らかにされているが、予約の受付が始まっているのはニフティのNifMoと楽天モバイルのみ(更新:U-mobileとDMM mobileでも始まった)。
NifMoでは5,000円のキャッシュバックがついてきて、楽天モバイルでは最大2,000ポイント還元となっている。NifMoでは2GB RAM/32GB ROMのモデル、楽天モバイルは4GB RAM/32GB ROM、2GB RAM/32GB ROMを扱っている。
→NifMo
→楽天モバイル
→U-mobile(U-NEXT)
→DMM mobile
アクセサリー編では周辺機器・アクセサリーを紹介したい。
【情報元、参考リンク】
ASUS公式オンラインショップ ZenFone Shop