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【せう先生のスマホ講座】第13回:スマホの設定画面でふと見かけた「Wi-Fi Direct」。Wi-Fiとは何が違うの?

GAPSISをご覧の皆さん、「せう」です。こんにちは。先週、ちょっと大阪に行ってきました。大阪へは何度も行っていますが、初めて飛行機で行きました。LCCを上手く使うと、安く速く大阪に行けるのは新幹線にはないメリットですよね。

そういえば、「Wi-Fi Direct」ってあまりハッキリ説明されていません

それはさておき、Androidスマホ・タブレットのWi-Fi(無線LAN)の設定画面で「Wi-Fi Direct」という表示を良く見かけます。Wi-Fi絡みの設定であることは分かるものの、何のためのものなのかよく分からないという方も多いと思います。

そこで、今回はWi-Fi Directの“正体”を簡単に、一部マニアックに解説します。


■Wi-Fi Direct=Wi-Fi機器どうしを気軽に接続できるようにした規格

“direct”は、英語で「(方向を)指し示す」(動詞)とか「直接的な」(形容詞)とか訳されます(意外と多義語ですが、基本ニュアンスは「まっすぐ」「道なり」って感じです)。Wi-Fi Directの“Direct”は後者の意味で使われていて、字義通りWi-Fi機器同士を直接つなぐための規格として策定されています。

Wi-Fiのアクセスポイントモード(左)とアドホックモード(右)の概念図

「え、直接つなぐのってWi-Fi Directの前からあるよね……」と思った方。正解です。元々、Wi-Fiにはアクセスポイント(Wi-Fiルーター)を介して通信を行う「アクセスポイントモード」と、機器同士で直接接続する「アドホックモード」の2モードがあります。機器同士の直結ならアドホックモードでOK――ではあるのですが、接続設定時にIPアドレスを手動設定(あるいは、つなぐ機器の片方がもう片方にIPアドレスを自動割り当てできるように設定)するなど、気軽に設定できない面があります。更に、アドホックモードにそもそも対応していない機器も少なからずあります。

Wi-Fi Direct機器は仮想アクセスポイントを作り、他のデバイスと通信する

一方、Wi-Fi Directでは対応機器自身が仮想アクセスポイントとなることで、アドホックモード非対応のWi-Fi機器とも接続できるようにしています。無線LAN機器にWi-Fi認証を付与するのと同じく、「Wi-Fi Alliance」が対応機器の認証を行っています(参考記事)。AndroidではAndroid 4.0以降、WindowsではWindows 7以降においてOSレベルでWi-Fi Directに対応しています。

「ここまでするなら、Bluetoothでいいじゃん……」と思う方もいると思いますが、伝送速度がより高速であること、通信可能範囲がより広いというメリットがあります。また、第4回の講座でご紹介したワイヤレス映像伝送規格「Miracast」においてWi-Fi Directが使われているのはこれらのメリットを活かせるからです。


■AndroidにおけるWi-Fi Direct

AndroidでのWi-Fi Direct利用はアプリ併用が前提(写真はARROWS NX F-02Gでの設定画面)

AndroidにおけるWi-Fi DirectはMiracast機能での利用だけではなく、自身を仮想アクセスポイントとした機器接続も可能です。ただし、原則として単体でできることはWi-Fi Direct利用時のアクセスポイント名の設定と、Wi-Fi Direct機器同士の接続管理機能のみです(メーカー・端末によってはWi-Fi Directを使ったファイル共有機能などを独自に搭載していることもあります)。

説明を追加

Wi-Fi Direct機能を利用するアプリの例(Wifi Direct File Transfer) (06.jpg)

具体的な機能はWi-Fi Direct対応アプリをインストールして“実装”します。Google Playで「Wi-Fi Direct」をキーワードに検索すると、Wi-Fi Directを利用したファイル転送・共有アプリやプリンター接続ソフトが色々見つかります。例えば、「Wifi Direct File Transfer」アプリでは、Android端末どうしでデータを高速にやりとりできます。もちろん、Bluetoothよりも高速です。


■Wi-Fi Directの注意点

Wi-Fi Directには注意点もあります。先ほど、Wi-Fi Directでは仮想アクセスポイントを作る、と言いましたが、その暗号化キー(と、場合によってはアクセスポイント名)は原則として手動設定できません。暗号化キーは接続先機器別にランダムに生成され、WPS(Wi-Fi Protected Setup)のプッシュボタン認証を使って接続することがほとんどです。

また、機器同士の接続が前提なので、Wi-Fi Directを使ったインターネット接続はできません。更に、Wi-Fi Direct機器は本当の意味でのアクセスポイントとしてその配下の機器同士の通信を仲介することはできません。常に1対1の通信となります(Bluetoothでいうところの「マルチペアリング」は可能です)。

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記事執筆者プロフィール
せう
ブログ:せうの日記、Twitter:@shoinoue

静岡県三島市で産まれ、静岡県駿東郡長泉町で生まれ育ったアメリカ系日本人3世。見た目が日本人離れしている反動で、身の回りの道具は日本で開発されたものだらけである。ITmedia、andronaviを始めとするWeb媒体を中心に執筆活動を展開。自前のブログ「せうの日記」も宜しくお願いします。

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