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【せう先生のスマホ講座】第12回:スマホと一緒にWindowsタブレットを使ってみよう!いつでもどこでも仕事もOK!

GAPSISをご覧の皆さん、「せう」です。新年明けましておめでとうございます。今年もGAPSISと私をどうぞ宜しくお願いいたします。

12月吉日、筆者が思わず買ってしまった「YOGA Tablet 2-8 with Windows」

突然ですが、皆さんはパソコンをお持ちでしょうか? 個人的には、現代人はパソコンを持っているのが当たり前、って思っていたのですが、最近の若い人はそうでもないようで、色々なことをスマホで済ませてしまうことも多いようです。スマホは色んなアプリを使えて便利ですし。

しかしながら、仕事で使うWord文章やExcelシートを“見る”だけならともかく、作成・編集するとなるとスマホでは力不足な面があります。特にフォントを指定して作成した文章や、マクロを組み込んだシートはスマホだと色んな意味で“むりぽ”になるはずです。

そこで登場するのが、今回取り上げる「格安Windows 8.1タブレット」です。安いものでは2万円でお釣りが出て、3万円ちょっとあればWordやExcel、果てはPowerPointやOutlookも使える「Microsoft Office Home and Business」付きのモデルまで買えます。筆者も、最近Office Home and Business付きのLenovo製「YOGA Tablet 2-8 with Windows」を3万4000円で買ったばかりです。

USB、あるいはBluetoothで接続するコンパクトなキーボードを一緒に持ち歩いても、重さは500mlのペットボトルと軽めのお弁当をプラスする程度。わずかな重量増加でスマホと一緒に持ち歩けて大変便利なのです。

今回は、主にスマホは持っているけれどパソコンを持っていない方、あるいは気軽に持ち歩けるWindowsパソコンがほしいと考えている方向けに、スマホにプラスしてWindowsタブレットを持ち歩くとどんなことができるのか、ちょっと書いてみようと思います。


《Windows 8.1タブレットを持つ“メリット”》

普段Windowsパソコンで使っているアプリがそのまま動くのも魅力

皆さんは仕事や学業でWindowsを含めたパソコンを使う機会が多いと思います。Windows 8.1タブレットでは、普段使っているWindowsアプリがそのまま動きます(※1)。Officeがプリインストールされた機種であれば、互換性を気にせず仕事場と同じWord・Excel・PowerPointが使えますし、その他にも仕事・学業に使っているアプリを小さく軽いタブレットで持ち歩くことができます。筆者の場合、GAPSIS以外のメディアでの入稿に使っている「EmEditor」や画像処理に使っている「Paint.NET」、更にネットワークストレージとして使っている「Dropbox」が不可欠なアプリですが、これらが普通に動くというのは作業環境的に大変ありがたいことなのです。

(※1)Surface RTやSurface 2(「Pro」が付かないやつ)など、ARMアーキテクチャのCPU向けの「Windows RT」を搭載するタブレットでは、IntelアーキテクチャのCPU向けに作成されたWindowsアプリは動作しません。


「やろうと思えば、それはAndroidスマホでもできるじゃん!」と思う方もいると思います。

ですが、複数のアプリを同時に扱う上での操作性や閲覧性は、長年ウィンドウシステムを採用してきたWindowsに一日の長があります。スマホでチェックしたファイルで「あれ?」と思った部分が見つかったら、サッとWindowsタブレット(と場合によってはキーボード)を取り出して修正・編集する方が、スマホでそのまま編集するよりも間違いなく便利なのです。今、編集長に色々ダメ出しされつつ、こうやって外出先で“仕事”を続けている筆者が言うのですから間違いありません。

もっとリッチなコンテンツも使える(画像はGoogle Chromeで開いたニコニコ動画)

また、Windowsタブレットは娯楽面でも役立ちます。

Androidスマホ・タブレットやiPhone/iPadでは「Adobe Flash」を利用したサイトは直接閲覧できません。Flashを純粋に動画再生用に使っている場合はアプリで解決できる場合もありますが、双方向性を持ったコンテンツやゲーム用途に使われた場合は“お手上げ”になってしまいます。更に、スマホ・タブレット用のサイトだとコンテンツがパソコン版より簡略化されて肝心な情報が見られなかったり、データのアップロード面で困ってしまったりすることもあります。

Windowsタブレットをプラスして持っておくと、スマホで見られなかったサイトもその場で閲覧できるようになりますし、Flashのアプレットが使えるWindows用Webブラウザーも問題無く使えます。上の画面では「ニコニコ動画」を例示していますが、(筆者はやりませんが)「艦これ」をはじめとするWebゲームも快適に楽しめます。

ニュースやシンプルなサイトだとスマホの方が手軽で早いと思いますが、Windowsタブレットも持っていれば、パソコン用サイトでしか見られないコンテンツもチェックできて便利なのです。

現行のAtomであればBD-ROMの再生も概ね問題なし

詳しくは後述しますが、USBでBlu-rayドライブを接続し、再生ソフトを導入すればBlu-rayビデオもきちんと再生できます。セルフパワー(自分で電源を持っている)USBハブでの接続が必須ではありますが。さすがに4K動画はカクカクになってしまいますが、Web上の1080p(フルHD)動画やBlu-ray Discであれば余裕で再生できます。同じCPUがAndroidスマホ・タブレットでも使われている、と思うとそのうちAndroidを搭載したポータブルBlu-ray Discプレーヤーとか出てきちゃうのかなー、とか色々想像も膨らむ次第ですw

Androidスマホでテザリングしながら仕事をする図

Windowsタブレットをスマホと持ち運べば、Windowsタブレットのネット接続はスマホのテザリング(インターネット接続共有)機能に頼ればOKです。これによって、Windowsタブレットでも、どこでも通信ができるようになります。機種にもよりますが、一番安定して使えるもはUSBケーブルで繋ぐUSBテザリングで、Bluetooth(※2)テザリングではスマホ・タブレット双方のバッテリー持ちに優しいです。そして、わざわざ結線する必要がなく、かつそこそこ高速なWi-Fiテザリングと、その方法もよりどりみどりです。もちろん、スマホの回線契約につきものの高速データ通信できる容量の制限に気を付ける必要はありますが、どこでもパソコン用のリッチコンテンツを使えるのは大きな魅力です。

(※2)日本で販売されているAndroidスマホ・タブレットではBluetoothテザリングが無効になっていることが多いです。理由としては、Wi-Fiよりも通信速度に劣ることが原因と思われますが、しれっと触れている通り、消費電力面では有利です。Wi-FiとBluetooth両方対応してユーザーに選ばせる方向性が個人的にはいいなぁ、と思っていたら対応機種が増えてきたので喜んでいるところです。

USB OTGで対応できる周辺機器はパソコンと変わらない

以前も当連載でご紹介した(こちらの記事)「USB On-the-go」(USB OTG)でも、電源供給能力が貧弱なことを除けばパソコンと同一のUSB 2.0機器を接続できることもできます。複数台のマスストレージデバイスの認識や複数パーティションに分割されたメモリー・ハードディスクや光学ドライブの利用はもとより、プリンターもUSB接続できます。

Androidスマホ上のFLAC(ハイレゾ音源)ファイルを読み込んで再生中の図

もちろん、USBケーブルを使って、Androidスマホも接続できます。

先ほど触れたUSBテザリングも便利ですが、ここでお勧めなのがデータのやりとりです。

AndroidスマホはWindowsではMTP(Media Transfer Protocol)デバイスとして認識されます。デジカメのデータはもとより、スマホでダウンロードしたファイルなどもWindowsタブレットにバックアップすることができます。例えば、前回ご紹介した(こちらの記事)ハイレゾ音源のファイルを読み込んで再生、なんてこともできます(※3)。

(※3)Windowsタブレット側にハイレゾ音源ファイルを再生できるアプリが必要です。なお、格安Windowsタブレットの内蔵音源では概ねDVD音質での再生が性能上限となります。ハイレゾ音質で再生したい場合は、Androidスマホ・タブレット同様にハイレゾ対応USBオーディオデバイス経由で可能です。

パソコンを持っていない方の場合、スマホのデータをバックアップする手段は限られてきます。microSDカードやネットワークストレージを利用する方が多いと思いますが、それらのデータについてもWindowsタブレットがあれば管理がしやすいでしょう。microSDカードに貯めた写真や動画をWindowsタブレットを使って外付けハードディスクに整理してもいいですし、動画はDVDに焼いてもいいでしょう。データの管理や整理の用途では、かなり役立つはずですし、バックアップがあればスマホも安心して使えます。



《Windows 8.1タブレットの“デメリット”も知っておこう》

格安Windows 8.1タブレットにも“欠点”はあります。この欠点は、格安Windows 8.1タブレットを単なる“タブレット”とみなすか、“パソコン”とみなすかによって見え方が変わってきます。

バッテリー持ちはAndroidタブレットやiPadより厳しい

まず、“タブレット”として見た場合、AndroidタブレットやiOSタブレットと比較すると消費電力が大きく、バッテリー持ちが若干劣ります。筆者が使っているYOGA Tablet 2の場合、Androidモデルが公称値で約18時間の連続稼働が可能なのに対し、Windows 8.1モデルでは約15時間と3時間ほど短くなっています。たかが3時間、されど3時間。使い方次第な面もありますが、実利用時にはもう少し差が開くはずです。とは言え、Windows 7世代のタブレットと比べると“天国”のような状況で、普段使っているパソコン(ThinkPad T430s)と比較して、バッテリーの容量は少ないのに持続時間はむしろ良くなっているのです。四六時中スマホをいじることが無いことと同様、タブレット・パソコンをずっと使い続けることも通常無いことを考えれば、そこまで気にする必要はないかもしれません。

システムメモリーがたった2GBしかないので、普通のパソコンと同じノリで作業すると……

しかし、“パソコン”として見た場合は、システムメモリーの少なさやストレージの少なさがネックです。

実は、この原稿を書いている途中、編集長からのプレッシャーを感じたのかBluetoothキーボード用のユーティリティソフト(機能追加するためのアプリ)が強制終了してしまいました。実はこれ、プレッシャーではなく、メモリー不足で処理を続行できなくなってしまったのです……。同じアプリが使えるとは言え、デスクトップパソコンやハイスペックなノートパソコンと同じノリで作業をするとメモリー不足で困ることもあるのです。ベースがあくまでも“パソコン”故、メモリー容量の少なさによる問題は発生しやすいのです。メモリーが2GBのYOGA Tablet 2-8ですらこうなのですから、1GBだったら……。

DropboxフォルダにはmicroSDXCカードにジャンクションを設定

格安、とは言え高速な読み込みができるSSDをストレージに採用しているので、普段使いではハードディスクを搭載したパソコンよりも快適であることは疑いようがありません。しかし、32GBという容量はスマホ・タブレットとしては十分でも“パソコン”としては物足りなさを感じてしまいます。筆者がYOGA Tablet 2-8のセットアップ途中で「Dropbox」をインストールしたところ、約23GBのSSD残存容量では「パソコンのストレージよりも同期容量が大きいけど大丈夫?」という旨のメッセージが出てしまったのです……。ガシガシデータを保存する場合、先述のUSB OTG機能を使って外付けハードディスクやUSBメモリー、あるいはmicroSDカードを用意してデータをこまめにバックアップして削除、なんてことも検討する必要があります。知識があれば、上の画像のとおり、システムドライブの一部フォルダをmicroSDカードに割り当てる「ジャンクション」を利用して、見かけ上のシステムドライブ容量を増やすことも可能ですが……。


《Androidスマホ×Windowsタブレットはステキな出会い!》

この組み合わせは黄金比!

ということで、Androidスマホに格安Windows 8.1タブレットをプラスすると、スマホで足りない部分を補えて便利ですし、Windowsタブレットにとってもスマホがルーター代わりになるなど、良い組み合わせです。スマホ1台だけでは実現できない世界がそこには広がっています。冬ボーナスの季節、格安Windows 8.1タブレットを家電量販店で是非チェックしてみてください。


《おまけ:格安の理由はOSやスペックにあり》

最後に、格安Windows 8.1タブレットが2万円~3万円程度で購入できてしまう“理由”を紐解いてみましょう。

条件付きながら1台0ドル(最安時)でライセンスされる「Windows 8.1 with Bing」

まず、タブレットを動かすために必要なOS(Operating System:基本システムソフト)に秘密があります。通常、Windows 8.1のパッケージ版は1万3000円前後で販売されています。それに対し、格安タブレットに採用されているWindows 8.1は「Windows 8.1 with Bing」と呼ばれている特別版です。この版は、Internet Explorerで利用する検索エンジンが標準でMicrosoftの「Bing」に設定されていること以外はWindows 8.1と機能面では全く変わりはなく、それでいて一定条件を満たしたパソコン・タブレットでは1台あたり0ドルでライセンスが提供されています。要するに、事実上“無料”のWindowsなのです。

最近ではAndroidスマホ・タブレットでも採用されるIntel Atom

更に、採用するCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)をIntel製の廉価な「Atom」にしていることもポイントです。Atomと言えば、一昔前の「ネットブック」(その名の通り、インターネットに利用するのには困らない程度のスペックのノートパソコン)を思い出す方もいると思います。その頃のAtomは正直に言って性能的に余裕がなくカツカツなものでしたが、現行モデルでは、演算機能、特に映像表示において負荷のかかる処理もある程度快適にこなせるようになっています。


ストレージも抑え気味

通常のパソコンとの最大の違いは、内蔵ストレージ容量を抑えていることです。YOGA Tablet 2-8 with Windowsでは、32GB(リカバリー領域を除く実利用可能領域はおよそ23GB)と、一般的なパソコンと比べるとストレージが少なめですが、これでも格安ジャンルでは“多め”で、中には16GBしか搭載していない製品もあります。大容量のフラッシュメモリーの搭載は製品の価格を引き上げる要因になります。一方、最近はネットワークストレージのサービスも充実している上、SDカードも廉価になってきたので、足りない分はこれらで補うことにして本体価格を下げているのです。

OSとハードウェア、両面を原資として、低価格を実現できているのです。

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記事執筆者プロフィール
せう
ブログ:せうの日記、Twitter:@shoinoue

静岡県三島市で産まれ、静岡県駿東郡長泉町で生まれ育ったアメリカ系日本人3世。見た目が日本人離れしている反動で、身の回りの道具は日本で開発されたものだらけである。ITmedia、andronaviを始めとするWeb媒体を中心に執筆活動を展開。自前のブログ「せうの日記」も宜しくお願いします。

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