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【せう先生のスマホ講座】第11回:CDよりも高音質!?最近話題の「ハイレゾオーディオ」って何?

GAPSISをご覧の皆さん、「せう」です。こんにちは。外は寒くてしょうがないですね。雪があまり降らない温暖な地域の出身者としては東京の寒さは非常に堪えます。

ハイレゾオーディオ対応の「ARROWS NX F-02G」

それはさておき、私の現在のメインスマホは「ARROWS NX F-02G」です。NTTドコモ(以下、ドコモ)初にして、唯一のWQHD(1440×2560ドット)ディスプレイ搭載のあいつです。

この機種を含め、2014年冬のドコモのAndroidスマホ・タブレットは「ハイレゾオーディオ」(High-Resolution Audio)対応が共通のセールスポイントのひとつです。「ハイレグ」ではありません、「ハイレゾ」です。今までのオーディオと一体何が違うのでしょうか。簡単に、一部マニアックに解説していきます。


◆「ハイレゾオーディオ」=CDよりも高品質な音楽が楽しめる

「ハイレゾオーディオ」の「ハイレゾ」とは「ハイレゾリューション」を略したもので、つまりは「高解像度」という意味です。何らかの基準があって、それと比較して高解像度の音楽を楽しめるというのが「ハイレゾオーディオ」なのです。

その基準は、音楽シーンにおいて第一線で活躍し続けているCD(コンパクトディスク)です。

ハイレゾオーディオはCDよりもサンプリング周波数(アナログ信号をデジタル信号に変換する頻度)やサンプリングビット数(変換した信号データの表現精度)を高めたものです。ざっくり言うと「CDよりも音質が良いオーディオファイルあるいはそれに対応したオーディオ機器」と思えばOKです。

▼JEITAによる「ハイレゾオーディオ」定義の例
サンプリング周波数 サンプリングビット数 ハイレゾを満たすか
44.1kHzまたは48kHz16bit×(CD-DA標準)
44.1kHz24bit
48kHz24bit
48kHz12bit×(ビット数がCD-DAを下回る)
96kHz12bit×(ビット数がCD-DAを下回る)
96kHz16bit


しかし、その定義はオーディオ機器メーカーあるいは音楽販売(配信)会社によって微妙に異なっていました。そこで、今年に入って電子情報技術産業協会(JEITA:電子機器の業界団体)と日本オーディオ協会(JAS:オーディオ機器・ソフト関連の業界団体)がそれぞれ定義を定めています。JEITAでは、サンプリング周波数・ビット数のどちらか、あるいは両方がCD(CD-DA:Compact Disc Digital Audio)の仕様を超えているものを「ハイレゾオーディオ」と定義しています。ただし、上の表の通り、周波数・ビット数のどちらかがCDの仕様を下回るものは、もう片方がCDよりも遙かに上回っていてもハイレゾオーディオを名乗れません。

▼JASの「ハイレゾオーディオ」定義(アナログ系)
録音マイクの高域周波数性能40kHz以上
アンプの高域再生性能
スピーカー・ヘッドホンの高域再生性能


▼JASの「ハイレゾオーディオ」定義(デジタル系)
ファイル形式FLAC(可逆圧縮)またはWAV(無圧縮)
音声の入出力
(サンプリング周波数/ビット数)
96kHz/24bit以上
ファイル再生上のファイル形式・音声入出力に対応できること
(※自分で録音・再生する機器はFLACとWAVの片方でもOK)
信号処理
(サンプリング周波数/ビット数)
96kHz/24bit以上の音声信号を処理できること
デジタル/アナログ変換
(サンプリング周波数/ビット数)
96kHz/24bit以上に対応すること


オーディオにより近い立場にあるJASではJEITAよりも更に細かい定義を行っています。現在「ハイレゾ対応」と言われている機器で、下記のロゴが付与されているものは、JASのハイレゾ定義に合致しています。このロゴ、元々はソニーが自社のハイレゾオーディオ機器・ソフトに付けていたのですが、ハイレゾオーディオの普及のためにJASに商標権を譲渡した、という逸話があります。

元々ソニーの「商標」だった「ハイレゾオーディオ」ロゴ


◆実際、音ってそんな違うものなの?

で、皆さんの疑問は「そんなに音が違うんですか?」というところに概ね集約されるのかと思います。これは、「環境次第ですね」という答えが一番妥当だと考えています。

ここで言う「環境」には複数の意味があります。まずは、ハイレゾ音源が作られた環境です。JASの定義に従うと、96kHz/24bit以上のFLAC/WAVファイルが「ハイレゾ音源」となります。その音源を作るもとになったマスター音源がこれと同等かそれ以上のものであれば、「ハイレゾ音源」を名乗るに十分ですが、中には、CD-DA規格ドンピシャで作った音源を「アップコンバート」(足りない情報をコンピューター処理で補完)したものを「ハイレゾ音源」として配信しているケースがあります。CDでは失われている情報が補完されているので、確かに音は元より良いかもしれませんが、最初からハイレゾ録音されたものには敵わない訳です。もっというと、そういうアップコンバートであれば、ソニーの「ウォークマン」や「Xperia」なら単体でできてしまうため、割高なハイレゾ音源を買う意味はかなり薄れてしまいます。

音源を再生するときに使うスピーカー・ヘッドホンも「環境」です。あまりに安いものだと、高域再生性能が弱いため、ハイレゾ音源が「宝の持ち腐れ」になる可能性が高まります。じゃあ、と言ってハイレゾのロゴ付きの製品を買おうとすると、それなりに高価です。また、現状ではハイレゾとノイズキャンセリングや端末独自のサウンドエンハンサー(Dolby Audioなど)とは両立できないのも、環境面での課題です。

ハイレゾがすごく活きるのは、筆者の印象としてはクラシック系の音楽だと思います。楽器の生演奏やアカペラの歌も結構良い感じです。とりわけ通常の圧縮音源(MP3ファイルなど)ではカットされやすい「空気感」が感じやすくなっているからです。もちろん、元から(あるいは将来を見越して)CDよりも高音質録音したものをハイレゾ音源化したものの場合だ、という前提ですが。

ハイレゾ音源を体験したい方は、ドコモのハイレゾ音源対応スマホ・タブレットからこちらのページにアクセスすると無料でサンプルファイルをダウンロードすることができます。ただし、かなり大容量なので、Wi-Fi(無線LAN)のある環境でダウンロードしましょう。

ドコモの「ミュージックプレーヤー」はハイレゾ音源再生中に通知が出る

また、ハイレゾ音源を購入できる主なオンラインショップも紹介しておきたいと思います。以下のとおりです。試聴可能なコンテンツもありますので、是非チェックしてみてください!!

e-onkyo music
Mora
VICTOR STUDIO HD-Music
OTOTOY


早いもので2014年も終わり。「せう先生のスマホ講座」も何だかんだで途中で力尽きることなく11回連載することができました。ひとえに読者の皆さまと編集長のおかげです。ここに、感謝の意を表したいと思います。ありがとうございます!!

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記事執筆者プロフィール
せう
ブログ:せうの日記、Twitter:@shoinoue

静岡県三島市で産まれ、静岡県駿東郡長泉町で生まれ育ったアメリカ系日本人3世。見た目が日本人離れしている反動で、身の回りの道具は日本で開発されたものだらけである。ITmedia、andronaviを始めとするWeb媒体を中心に執筆活動を展開。自前のブログ「せうの日記」も宜しくお願いします。

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