ガジェットの文化祭、「Engadget Fes 2014」 |
イベントの会場は秋葉原の近辺。実際には末広町の近くだった。秋葉原には何十年も通っているが、正直な話、こんな場所があることを知らなかった。まったく世界は広い。
開催時間はお昼の12時から20時までで、長時間楽しめるイベントだ。
「Engadget Fes 2014」は大雑把に言って、2つのファクターから構成されている。トークイベントとメーカーのブース展示だ。
トークイベントではホリエモン(堀江貴文氏)やモバイルプリンス(島袋コウ氏)、明和電機など、ガジェット関係の有名人が興味深い話をしたりしていて、このトークイベントを聞くための行列ができていた。このトークイベントは、出演者の顔ぶれを見る限り、ターゲット年齢層が高いなぁと思ったのだが、これに関してはまた後述したい。
明和電機はブースも出していた。
メーカーブースにおいては、ソフトバンク、Microsoft(マイクロソフト)、dyson(ダイソン)、PFU、 ハミングヘッズなどのメーカーが出展し、興味深い製品を展示し、デモや説明を行っていた。
協賛メーカーのロゴ |
ソフトバンクは例のロボット「Pepper」を展示していて、すごい人気だった。
Pepper
Microsoftは最新タブレットPC「Surface Pro 3」や最新ゲーム機の「Xbox One」を展示していた。
Surfaceなどは、イベントの特性上すごい人気なのではと思ったが、ちょっとビジネス臭があるためか、来場者とのマッチングがあまりよくなかったようで、思ったほどの人が集まっていないような感じだった。
Xbox Oneについては、プレイヤー自身が体を使ってジェスチャー(動き)で操作できる「Kinect」を使ったゲームプレイなどがデモされていて、個人的には興味深かった。
MicrosoftのブースではSurfaceやXbox Oneを展示
dysonは最新型の掃除機を展示しており、その操作性やパワーを強調していた。ダイソンの掃除機は日本の従来型の掃除機とは重さやバランスなども異なるので興味深かった。
また、思ったほど動作音がうるさくないことに驚いた。これについては、現場にいた説明員の方に聞いてみたところ、以前はうるさいうるさいと言われていたそうだ。しかし、開発努力によって、現在のバージョンではかなり静音化に成功し、着実に改良されているということだ。
dysonのブース
PFUは、言うまでもなく、あの有名なドキュメントスキャナー「ScanSnap」のメーカーだ。
PFUのブースでは、同社の最新のスキャナが並べられ、説明が行われていた。本を開いた状態でそのままスキャンできるSV600や、ポータブルスキャナのiX100などが人気だった。
PFUブースにおける同社の担当者の方々 |
個人的にはiX100は特に興味深いと思った。充電バッテリーを搭載し、外部からの電源供給なしにスキャンできるし、Wi-Fiを搭載しており、iPhoneやiPadなどのスマートデバイスからもスキャンをすることができる。
→ScanSnap iX100
ScanSnap iX100 |
特徴的なのは、普通のスキャナーのようにセンサーが中央にだけあるのではなく、左右にもあるので、左右に紙をセットしてもスキャンがスタートされることだ。この辺りは今までのポータブルスキャナには無い感覚だ。
iPhoneなどのスマートデバイスとこのポータブルスキャナを使って、最適化できる仕事もあるのではないかと思った。例えば、打ち合わせなどで頻繁に資料をもらうことがある人などは便利だろう。特に保管しておかなくてもいいような資料などは、すぐにスキャンして、紙の資料を捨ててしまうような使い方ができるからだ。
パソコンを持ち歩かなくても、iX100ポータブルスキャナだけをカバンに入れておけば、 iPhoneで手軽にスキャンできるというわけだ。
Wi-Fiやバッテリー搭載のiX100は色々なシーンで使えそうだ
また、PFUからはスマートフォンをセットして、きれいにブツ撮りができるような「スナップライト」というスタンドも展示されていた。
このスナップライトは、ドキュメントをスキャンするような使い方のほか、ヤフオクに出展するような品物を綺麗に撮影するというような用途にも使えそうだ。色々と幅広く使えそうなアイデア商品である。
物撮影やドキュメントスキャンに便利そうな「スナップライト」 |
また、ハミングヘッズというメーカーの「ディフェンスプラットフォーム(DeP)」というセキュリティソフトも興味深い。
多くのセキュリティソフトがパターンファイルを使い、マッチングでマルウェア検出を行ってるのに対して、このDePではWindowsのAPIを監視し、APIに対して怪しい行動を発見した場合にユーザーに知らせてくれる。そして、そのプログラムの動作を止めてしまうことができるのだ。
そのため、普通のセキュリティソフトのようにパターンファイルの頻繁なダウンロードが必要ではなく、PCに対する負荷が軽い。さらにドライブのセキュリティスキャンなどの時間をかけることもない。
そういう面では非常に新しい、次世代のセキュリティソフトといえる。
ただし、あまりマニアックでない人々にとっては、そのファイルの動作を止めてしまっていいのか? ということが判断できないかもしれないので、やや使い方が難しい気がしないわけでもない。
「オレ、そんなのわかんないよ」
という人は少なくないだろう。そして、これが今までのバージョンにおけるDePの弱点だったのだが、今回展示されていた新バージョンでは、この動作の選択部分が改良され、他のユーザーがこのファイルに対してどんな行動とっているか? を表示することができるようになった。
改良が進むディフェンスプラットフォーム |
ビッグデータ的な情報活用をしているわけで、他の人がどのような判断を下したのかを参考にして自分の行動を決めることができるようになっている。以前のバージョンと比較すれば大きな進化だと言える。
また、会場では軽食などを提供するサービスもあったようで、来場者としてはありがたいところだ。
残念ながらホットドックの提供は終了していたが、他にも軽食が提供されていた |
さて、「Engadget Fes 2014」では、入場者には数字が入ったリストバンドが配布され、この数字によって抽選でプレゼントをもらえるという企画もあった。
僕は、なぜかXYZプリンティングジャパンの「ダヴィンチ 1.0」という3Dプリンターが当たってしまった。
定価は69,800円なので、入場料5,000円を考えれば、僕にとってはコストパフォーマンスが良いイベントだったが、こんなプレゼントが当たらない場合は、5,000円という入場料はやや高く感じてしまうかもしれない。このイベントのポイントの一つは、入場料が比較的高いということだ。ただし、5月末までは早割チケットが3,000円で販売されていたようなので、その場合は少し出費を抑えられる。
会場では3Dプリンタのデモも行われていた
この入場料の値段によって、ユーザーの中には「そんなイベント行かなくていいや」と思った人もいることだろう。逆に、これによってEngadget側としては、参加するユーザー数を制限することができたのかもしれない。というのも、場所が秋葉原ということで、もし安い入場料にしてしまえば、会場が溢れるほどの来場者が訪れる可能性があるからだ。そして、あまりに来場者が多いと、訪れた人達は満足にイベントを楽しむことが難しくなってしまったのではないかと思う。
そのため、僕は、この価格設定によってEngadgetは来場者数をコントロールして、イベントを快適なものにすることができたのではないかと思っている。まあ、一瞬、金を出せるおっさん狙いか? とも思ったが。トークイベントの出演者の顔ぶれが、比較的ターゲット年齢が高いと感じたのも、このことに関係しているのでは? とも考えられる。
ちなみに、イベントに参加した人には、スマートフォンでタクシーを呼ぶことができるサービス「Uber」の4,000円の利用権がプレゼントされるので、実はこの利用権のプレゼントを考慮すると、意外とリーズナブルなのかもしれない。だが、タクシーというところで、やっぱり、ターゲット年齢層は高いのかもしれない。
→Uber公式サイト
「Engadget Fes」は今年の冬にも行われるということなので、今回参加できなかった方はぜひ次のイベントに参加してみよう。時期が近づいたら、Engadgetのウェブサイトで情報をチェックするといいだろう。
「ガジェットの祭典」や「ガジェットの文化祭」と題しているイベントだけあり、日頃からガジェットへの関心が高い方には面白いイベントだ。
(記事:一条真人)
【情報元、参考リンク】
Engadget Fes 2014について