左から大野氏、佐藤氏 |
■「EDGEST」の利点、「スタミナ」について
(シャープ 佐藤氏、大野氏)
今回の3機種の特徴は大きく次の3点。「EDGEST」「スタミナ」「PureLED」だ。
まず、「EDGEST」の紹介。デザイン面からの説明は第1回を参照して頂くとして、ここでは利点と設計の工夫を紹介する。「EDGEST」以外に、他社からの狭額縁の端末はリリースされており、現在はそれがトレンドになりつつある。しかし、それらの端末でも狭いのは左右の縁のみであり、上辺については狭くないものが多い。しかし、シャープの「EDGEST」では上辺も狭いので、横幅だけでなく、上下の高さもコンパクトにできている。そして、その事によって持ちやすさという利点が得られる。
上辺の縁を狭くするには工夫が必要で、通話レシーバーをどのように配置するかという問題が生じる。通常は平置きにするものを斜めに配置し、ダクトを上手く設計することで実現している。結果、フロント面における画面占有率は実に約81%になっている。
画面の占有率は新モデルでは増大している。 |
3日間持つとされる「スタミナ」だが、スタミナに関してシャープはNo.1を目指している。基板をできるだけ小さく設計し、余ったスペースを全てバッテリーに充てることでバッテリーの増量を行っている。さらに、IGZO液晶自体の省電力性能、「エコ技」などのソフトウェア面からの省電力機能などを合わせて優れたスタミナ性能を実現している。
省電力性能について |
■「PureLED」、画質について
「PureLED」の導入が、「EDGEST」、「スタミナ」という特徴と合わさることで、「あふれ出る臨場感を いつでも・どこでも」というテーマを実現することに成功している。
「PureLED」について解説する佐藤氏。 |
「あふれ出る臨場感を いつでも・どこでも」がテーマ。 |
では「PureLED」とは何なのか? というと、新開発のバックライトのこと。
従来は液晶モジュール(カラーフィルタ、IGZO液晶パネル)とバックライトユニットが重ね合わさってディスプレイはできていたが、今回は新しいカラーフィルタ、チューニングし直したIGZO液晶パネルによる液晶モジュールと、「PureLED」と名付けた新開発のバックライトを組み合わせている。
ディスプレイの構造について。 |
ディスプレイの構成モジュールの実物。右図はバックライト。
従来のバックライトは青色の発光体、黄色の蛍光体を組み合わせることで白を表現していた。今回の「PureLED」では青色の発光体、赤色の蛍光体、緑色の蛍光体を組み合わせることで白を表現している。ここが新しいポイント。
従来のバックライトと「PureLED」の違い。 |
今回、より綺麗な色を表現したいと考えて開発してきたが、それを目指す方法の一つに、液晶のカラーフィルタを濃くする、ということがある。ところが、この方法では明るさが下がってしまうというデメリットがあり、今回はカラーフィルタではなく、バックライト側で対策した。もちろんカラーフィルタも高い透過性を持つものに変えるなど改善しているが、「PureLED」を採用することで、カラーフィルタを濃くせずに、輝度を落とさずに、色を濃く、より美しく表現することに成功している。
「PureLED」について。
「PureLED」のほか、ソフトウェア面からも画質改善に取り組んでいる。AQUOSでは、ユーザーが好みに合わせていくつかの「画質モード」を選択できるようになっている。
生活環境に合わせた画質である「ユースフィット」、飽きが来ない自然な画質の「標準」、「キレイ!」と思わせる臨場感溢れる画質の「ダイナミック」、実物の色に近づけることを目指した「ナチュラル」、色合いの優しい「リラックス」、省エネ画質の「エコ画質」だ。これらを切り替えることで、好みに合う画質で映像を楽しむことができる。
画質モード |
「画質モード」は「ディスプレイ」の設定からいつでも変更できる。
■カメラ機能について
(シャープ 吉田氏)
今回のポイントは「いいね!」と思ってもらえる写真を簡単に撮影できること。FacebookやLINEなど、最近ではSNSでの利用など、人と写真を共有する機会が多くなっている。このような背景から、「いいね!」と思ってもらえる写真を撮れることを重視している。
カメラ機能について説明する吉田氏。 |
「いいね!」な写真を簡単に撮影できることを目指した。 |
写真を撮るときに失敗しにくいための機能として「リアルタイムHDR」「NightCatch II」が用意されている。
逆光のシーンなど明暗差が大きい場面で便利なHDRだが、従来は複数の写真を重ね合わせて1枚の画像を生成していたが、今回は1回のシャッターで処理を行う形へと変化している。具体的には1回のシャッターで撮影する画像の中で、部分的に露出を変更することでHDR画像を生成している。1回のシャッターで処理を行うため、従来だと被写体が動いているシーンなどでは合成ズレが生じることもあったが、今回の「リアルタイムHDR」ではそれが無くなっている。また、「リアルタイムHDR」ではHDR写真を連写することもできる。
「リアルタイムHDR」と「NightCatch II」について。 |
「NightCatch II」は夜景でも明るく撮れるという機能で、従来の「NightCatch」から進化し、「II」になった。従来バージョンの「NightCatch」では、背景はキレイに撮れても、前に人物がいる場合、背景と両方をキレイに撮ることができなかった。逆にフラッシュを使った場合には人物は明るく撮れても背景が暗くなってしまうという問題が起きた。
今回の「NightCatch II」では背景も人物もキレイに撮れるよう進化している。また、フラッシュも高輝度なLEDへと改善されている。
「リアルタイムHDR」や「NightCatch II」は写真を綺麗に撮るための技術だが、写真を良いものにするには、構図も重要だ。ところが、構図は撮影者の技術、センスによるものなので、技術的にカバーすることはできない。しかし、アドバイスを送ることは可能で、今回の3機種には「フレーミングアドバイザー」という機能が導入されている。
「フレーミングアドバイザー」と「近接撮影」機能について。 |
「フレーミングアドバイザー」は撮影時にカメラ側から、バランスの取れた写真を撮れるようアドバイスしてくれる機能だ。アドバイス通りに撮影すると、ある程度バランスの取れた構図の写真を残すことができる。
「フレーミングアドバイザー」は「人物」「風景」などシーン別にアドバイスが用意されている。 |
「人物」の場合。人物をどこに配置すればバランスがいいか教えてくれる。 |
また、被写体に近づいて撮影できる「BrightEye」では、F値1.9の明るいレンズを活かし、背景をぼかした写真が手軽に撮影できる。
■「EDGEST」を際立たせるカメラ機能
「EDGEST」スタイルを活かしたカメラ機能も搭載されている。「検索ファインダー」、「翻訳ファインダー」、「全天球撮影(Photo Sphere)」だ。
「検索ファインダー」、「翻訳ファインダー」「全天球撮影」について。 |
「検索ファインダー」では、カメラを通して見た映像の中に文字がある場合、それを画面上でなぞることで、OCR処理を行いテキストデータ化され、検索結果を表示してくれる。街の看板や雑誌などで調べたいワードがあったときに、いちいち手入力しなくて済むので、使い方によってはかなり便利だ。
「翻訳ファインダー」は英語の文字にカメラをかざすだけで日本語への翻訳テキストを画面上に重ねて表示してくれる機能。
「検索ファインダー」と「翻訳ファインダー」について。 |
「全天球撮影」はGoogleのカメラ機能で、「SHカメラ」から起動できるようにしている。この撮影機能は、Google マップのストリートビューでもお馴染みの360度写真を撮影できる機能。
「全天球撮影」について |
「検索ファインダー」「翻訳ファインダー」「SHカメラ」のアイコンはホーム画面に予め設置されている。 |
【情報元、参考リンク】
・AQUOS ZETA SH-04F製品紹介ページ
・AQUOS SERIE SHL25製品紹介ページ
・AQUOS Xx 304SH製品紹介ページ