《3部:モバイルカメラNo.1の高画質》
カメラについて解説する石原氏
1. ELUGA P カメラのねらい
私はモバイル端末にカメラが搭載されてからの約13年間、モバイルカメラ専門でやってきています。正直に言って、このELUGA Pは集大成といっていい出来に仕上がっていると思います。
このセッションのテーマは「モバイルカメラNo.1の高画質」としていますが、これはカメラ評論家等の第三者機関による評価の結果をもって実際に言えるものとなります。色眼鏡なく、我々のELUGA PのカメラはNo.1の画質だということを自負しています。
弊社では2010年に「LUMIX Phone P-03C」というデジカメブランドを冠したスマートフォンを出しています。その頃から高画質化へ本格的な取り組みを行っています。
上図のグラフにおける縦軸は「シーン満足率」ですが、これは様々なシーンを良い画質で撮れる指標のようなものです。デジタルカメラは様々なシーンでちゃんと撮れないと意味がないですから、そういった指標で客観的な評価をしています。全てのシーンで正しく撮れていれば100%で、それに対して各機種のカメラ機能がどうかというグラフです。
実はLUMIX Phoneを開発するとき、本家LUMIX部門からこの評価において70%を取れるようにと言われていました。LUMIX部門でも同じ評価をしていました。P-02Bの頃は40%程度だったわけなので、70%なんてクリアできるのかと思ったことを思い出します。
結果的にLUMIX Phone以降70%を超え、ELUGA Pに至っては最新の評価では82%に達しています。
2. 新センサの実力
ELUGA Pでは4つの領域において新しい技術を採用しています(下図参照)。高感度の新型センサ「SmartFSI」、高解像の新開発レンズ、新しいノイズリダクション処理を備えた画像処理エンジン「Mobile VenusEngine」、そしてRa90 高演色のLEDフラッシュです。カメラを構成する全ての要素技術が進化しています。
特に進化しているのがイメージセンサです。ご存知の方もいると思いますが、イメージセンサは光を電気信号に変換するデバイスです。イメージセンサを拡大して見ていくと、赤、緑、青のツブツブが見えてきます。これらが光の三原色(赤・緑・青)を感じる画素で、この画素によって光の三原色が電気信号に変換されます。
このイメージセンサには表面照射型センサや裏面照射型センサなど何種類かのタイプがあります。表面照射型センサの場合、1画素のサイズが小さくなってくると感度が取れないというデメリットがありますので、今はほとんどが裏面照射型になってきています。
裏面照射型センサは、フォトダイオード(PD)をひっくり返して、回路を下に持ってきて、光をフォトダイオードに集めやすくして感度を上げています。しかし、この裏面照射型センサにもデメリットがあって、フォトダイオードをひっくり返しているので、光の入口が狭くなってしまいます。また、回路を下に持ってきて繋げなければいけないので、フォトダイオードの深さも取りにくくなってしまいます。そのため、赤色の感度が低いという問題などがあります。
そして、今回、我々が採用したSmartFSIというセンサですが、これは表面照射型センサを進化させ、裏面照射型センサよりも高感度にしたセンサです。マイクロレンズとフォトダイオードを直結した設計で、上図の青い点線のエリアにおいて光が反射するような構造になっています。ある程度斜めから入ってきた光でもフォトダイオードへ送り込めるようになっています。光を多く取り込めるので感度が上がります。青い点線エリアを拡大した図が下図です。
裏面照射型センサよりもフォトダイオードの入口が広いので、光が入りやすくなっています。さらに、フォトダイオードを深くできるので、赤色も取り込みやすくなっています。このような仕組みによって総合的に感度が上がっています。
ちなみに、デジカメのLUMIXの高感度MOSセンサもこのタイプです。
イメージとしては、光ファイバのようなものです。光が入ったら漏れない構造です。このマイクロレンズとフォトダイオードを直結する技術はパナソニック独自のもので、特許も取得しています。
次にエンジンですが、「Mobile VenusEngine 」は最初のLUMIX Phoneからずっと載せているものですが、ELUGA Pでは最新のバージョン3に進化しています。基本的に大きく変わったのは、顔検出エンジンをハード化したことで、顔検出のスピードが上がり、省電力化ができたことです。
スマートフォンでのカメラ利用は基本的にスナップ写真なので人物撮影が多いと思いますが、撮影の際、カメラが被写体が人物であるということをキチンと識別した上で、綺麗な画質を作り上げることが重要になりますが、その性能がかなり上がっています。
もう一つがノイズリダクションの性能です。パナソニックで監視カメラの開発もしていて、今回はその監視カメラ部門の技術を転用しています。基本的にはカメラは感度を上げていくとノイズだらけになっていくと思いますが、そのノイズを減らしてくれるのがノイズリダクション技術です。高性能なノイズリダクション機能であれば、ノイズが少なくなりますが、処理は重くなります。処理が重いと、撮影した後にその処理に時間がかかることになりますが、監視カメラ用の技術をモバイル向けに転用することでその問題を解決しました。クアッドコアCPUを活かし、8画素並列処理を行うことで、短時間で高速に処理できるように開発されたノイズリダクション機能が搭載されています。これによって、ELUGA Xのカメラよりもかなりノイズの低減が図れています。
また、LEDフラッシュについても弊社独自のものを使っています。
LEDは白いものだと思われているかもしれませんが、実は青いものです。色指数(Ra)が高いLEDほど太陽光に近い光になりますが、ELUGA Pに搭載されたLEDフラッシュはRa90と、とても高いです。そのため、LEDフラッシュを使って撮影しても、とても綺麗に色が再現できますし、人肌なども自然に写ります。
ELUGA Pでは、このように新型センサ、ノイズリダクション処理、LEDフラッシュ、調光などによって夜景や夜景+人物のシーンをとても綺麗に撮ることができます。
3. 綺麗に撮影するテクニック
オリジナル機能ということで、「iA+(アイエープラス)」と「おすすめモード」を説明します。「iA+」は、基本的にオートだけど、ちょっとした調整をできる、というモードになります。明るさ、色合い、シャッタースピード、ホワイトバランスを調整できるので、自分好みの演出をオート撮影に加えることができます。
また、ELUGA Pには特殊効果撮影モードがいくつか搭載されているわけですが、普段はなかなかそうした特殊効果は使いにくいと思います。どういうシーンでどういう特殊効果を使っていいかということは分かりにくいですし。しかし、この「おすすめモード」では、カメラ側からこういう効果はどうか、という提案をしてくれます。例えば、風景を撮影するとノスタルジーとかファンタジーの効果をおすすめしてくれたりします。
オートフォーカスはマルチポイントで、5点まで見るようになっていますので、ピン抜けをできるだけ防ぐことができます。また、ゼロシャッターラグというモードに切り替えれば、シャッターを押した「瞬間」の撮影ができます。
【質疑応答】
参加者からいくつか質問がありましたので、ここで紹介します。
●Q. ELUGA Xでは「戻る」と「メニュー」キーがハードキーでしたが、今回のELUGA Pではタッチキーです。この変更の理由を教えて下さい。
◎A. フルガラスデザインの話を先ほどしましたが、今回はホームキーにジルコニアという素材を採用しています。一番使うホームキーは耐摩耗性があり、高級感のあるものに仕上げたかったということが第一にあります。そして、全体のデザインテイストを見た上で、真ん中のホームキーはハードキーとし、「戻る」と「メニュー」はタッチキーにするという形にしました。
●Q. 文字入力のIMEを単独アプリとしてリリースする可能性はありますか?
◎A. この「フィットキー」を現時点ではアプリとして単独で販売する計画はありません。
●Q. Android 4.3へのバージョンアップ予定はありますか?
◎A. バージョンアップの提供は通信キャリアさんとの関係にもよりますので、相談しながら決めていくことになると思います。
●Q. ホバー機能について、液晶保護シートを貼ることで影響することはあるのでしょうか?
◎A. 影響はありませんし、もともと15mm程度の距離で感知するものなので、それほど厚いシートでなければ問題ありません。
●Q. 購入者の反響は?
◎A. スマートフォンを初めて買われた人の満足度が特に高いようです。購入者に対して実施してきたアンケートにおいて、過去最高の満足度を得ています。
●Q. 「ELUGA」というブランドと「パナソニック」というメーカー名、どちらを推すのがよいと考えていますか?
◎A. 我々はスマートフォンのブランド「ELUGA」を浸透させていきたいと考えていますが、まだ認知度が低いことも分かっています。昔のケータイでは「P」など、アルファベット一文字でメーカー名を表していましたが、今回のELUGA Pでは、「ELUGA」がパナソニックのものであるということも根付かせたいと考えています。我々としては中長期的にも「ELUGA」というブランドを推していきたいと思っています。
【情報元、参考リンク】
・ELUGA P P-03E製品紹介ページ
・ITmedia タッチ&トライ ミーティング紹介ページ