本記事ではこれらのアプリ、関連製品について紹介したい。これらの製品について、バッファロー広報担当者の方から直接伺った話や、実機デモ動画なども交えていきたい。
■AOSS for Android
スマートフォンのみならず、コンシューマゲーム機、パソコンなど今では家庭内に複数のWi-Fi機器があることも一般的だと思う。当然、それらの機器をWi-Fiに繋げるにはWi-Fi親機（ルーター）側はもちろん、クライアント側でも設定が必要になる。しかし、「SSID」「WEP」などと言われてもピンと来ない方が大多数ではないだろうか。そこでバッファローは以前から簡単接続機能「AOSS」を同社のWi-Fi製品に搭載してきた。AOSSを使うと特に小難しい設定をする必要なく、手軽な操作のみでWi-Fiを利用できる。
このAOSSのツールがAndroid搭載端末でも利用可能になった。「AOSS for Android」という名前のアプリとしてAndroid Marketで無料配信されている。利用するにはWi-Fi親機側もAOSSに対応している必要があるが、そうであればほぼワンタッチでWi-Fiを利用できる。AOSSを使った接続の場合、セキュリティについても配慮されており、暗号化通信でデータのやり取りが行われる。
アプリはAndroid Marketで「aoss」で検索すればヒットする。もしくはウェブ版Android Marketのこちらのページからダウンロード/インストールが可能だ。動作要件はAndroid 2.1か2.2。ただし、現時点ではNTTドコモ向け「REGZA Phone T-01C」とソフトバンクモバイル向け「DELL Streak 001DL」には対応していない。
■WebAccess A
「WebAccess A」は同社のNAS（Network Attached Storage）製品上のデータをAndroid搭載端末からアクセスすることのできるアプリ。ファイルのダウンロード・再生はもちろん、Androidスマートフォンからアップロードすることもできる。「WebAccess A」もAndroid Marketで無料配信されており、「webaccess a」で検索すればヒットする。もしくはウェブ版Android Marketのこちらのページからダウンロード/インストールが可能だ。動作要件はAndroid 2.1以降。
と、簡単に説明したが、「“NAS”って何？ 結局どういう製品で、“WebAccess A”というアプリも何ができるものなの？」と思う方も多いと思う。そこで、改めてNASから説明していきたい。
NASは「Network Attached Storage」の頭文字を取った言葉で、その名の通りネットワークに直接接続したストレージのこと。ハードディスクをネットワークに直接接続したものを想像して頂ければ分かりやすいと思う。ネットワークに接続しているため、同一ネットワーク内の複数のコンピュータからアクセスすることができる。例えばデスクトップPC、ノートPCなどから同じストレージへアクセスし、同じファイルを利用することが可能だ。
さらに、インターネット経由でのアクセスが可能な「Webアクセス」機能を持つ製品の場合、外出先から自宅に設置したNAS、オフィスに設置したNASへアクセスすることができる。どこにいてもデータにアクセスできるということは、外出に使うモバイル機器の内蔵ストレージや外部メモリなどにデータをコピー/移動して持ち出す必要がないということになる。
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| NASに置いてあるデータは様々な機器で共有できる |
スマートフォンユーザーにとってお馴染みのクラウドサービス「Dropbox」や「SugarSync」などのプライベート版と捉えてもいいかもしれない。もちろんDropboxの場合は自動的に同期してくれるなど、異なる要素を備えているが、クラウドストレージという点では同種。容量も圧倒的に巨大で、設置/設定自体もそれほど難しくないこともあり、NAS製品は人気が高まっている。同種の他社製品「Pogoplug」のヒットも記憶に新しい。
今回バッファローから説明を受けた「WebAccess A」を使えば、Android搭載端末からも同社のNAS製品にアクセスすることができる。ファイルのアップロード、ダウンロードが可能なことは当然として、写真データに関しては内蔵ビューアによってスムースに閲覧することもできる。ピンチ操作による画像の拡大/縮小、連続再生もスムースに行うことが可能だ。
写真閲覧のほか、基本的な機能の実機デモを広報担当者の方に行って頂き、動画に収めているので、それを下に掲載したい。概要が掴めると思う。名古屋のバッファロー本社に置いてあるNASに、都内の会議室からNTTドコモのFOMA 3G回線経由でアクセスしている。端末はNTTドコモ向け「GALAXY S」。
上の動画中にも収められているように、各ファイルは第三者ユーザーと共有することもできる。一時的な共有として、共有用のURLリンクを作成し、それを相手に教えることでファイルを渡す仕組みだ。この際、共有用URLリンクの有効制限を設定することもできる。1日単位で最大30日までの設定が可能。
非常に便利なNASと「WebAccess A」だが、実はこのアプリには現時点で欠点もある。パソコンやiPhoneなどからの利用では暗号化通信（SSL）が可能だが、「WebAccess A」では今のところサポートされていない。そのため、大事なファイルなどを扱うにはセキュリティ面でやや心もとない。もちろん、バッファロー側にもSSL対応への意向はあるものの、Androidの仕様上、現状は技術的に実現が困難だということだ。将来的に実装が可能になった場合には対応したい、とのお話であり、そうなることを期待して待ちたい。
NASは一般ユーザーにとっても非常に便利な製品で、価格も手頃なレベルにまで下がっている。今回はバッファローへの取材だったこともあり、同社の製品を紹介しているものの、実際には他社製品も存在しているので、それも含めて色々と調べてみてもいいだろう。
参考までにWebアクセス機能を搭載したバッファローのNAS製品をリストアップしておきたい。個人向け「リンクステーション」シリーズ、法人向け「テラステーションPro」シリーズなど、多種多様なラインナップがあるが、ここではリンクステーション・シリーズから主な製品を紹介したい。
【高速・多機能標準モデル LS-VLシリーズ】
高速転送、USB拡張ポート、Eye-Fi連動、DLNA機能、DTCP-IP対応などマルチに使える高機能NAS。HDD容量別に500GB、1TB、1.5TB、2TBの製品をラインナップ。
以下、左から500GB、1TB、1.5TB、2TB製品のAmazon.co.jpの商品ページ。
【「RAID1」対応モデル LS-WVL/R1シリーズ】
RAID1（ミラーリング）に対応したモデル。内部に2つのHDDを装備し、データを二重に保存する（ミラーリング）ことで、万一片方のHDDが故障しても、もう片方のHDDにデータが残っていることで復元することのできる安心タイプ。
以下、左から容量が1TB、2TB、3TB、4TBの製品のAmazon.co.jpの商品ページ。
【激安モデル LS-CHLシリーズ】
基本的機能に絞った激安製品。エントリー向け。
以下、左から容量が500GB、1TB、1.5TB、2TBの製品のAmazon.co.jpの商品ページ。
他にもテラステーションProシリーズがあるが、こちらの製品はバッファローのウェブサイトでご確認頂きたい。2ドライブモデルから8ドライブモデルまであり、ラックマウントにも対応している。
UPDATE
記事公開後、訂正事項があることが発覚し、2点に関して修正。両方とも「WebAccess A」に関するもので、1点目は1ファイルあたりのダウンロード容量制限に関する点。当初の記事では「以前は各ファイルの容量制限があったものの」と記したが、これはiPhone向けアプリでのことを指している話で、Android版とは関係ない。誤解を招く可能性があり、該当文を削除。2点目はSSL対応予定に関する点。当初は記事タイトル及び本文内で将来的にSSLに対応予定と記したが、後ほど実際の状況は異なっていたとの連絡がバッファローから入り、事情を再確認。SSLに関する記述を修正。同社開発担当側には実現したいとの意向はあるものの、現状ではAndroidの仕様上、WbAccess AでのSSL対応は技術的に困難とのことで、今のところの対応は「未定」になる。ただし、技術的に実装が可能になった場合には、対応したい考えがあるとのことだ。これら、訂正の上、お詫び申し上げます。
【情報元、参考リンク】
Android Market/AOSS for Android
Android Market/WebAccess A
バッファロー/ネットワーク対応HDD（NAS）について
