新会社への出資比率は富士通が80.1%、東芝が19.9%。資本金は4億5千万円になる。富士通で執行役員常務を務めてきた大谷信雄氏が富士通東芝の代表に就任する。
今後の携帯電話端末のブランド展開については新会社の部隊はしばらくの間は「東芝」ブランドで端末を販売していく。一方、富士通の携帯電話事業は新会社ではなく、統合前と同じように富士通本体で継続して端末の開発に取り組んでいく。そのため、同社の部隊が作る端末もこれまで通り「富士通」ブランドで販売される。
どういうことかわかりにくいかもしれないので、具体的に説明したい。
まず、統合とはいえ両社の携帯電話事業に携わる従業員がまとめて新会社の社屋に移る、ということではなく、富士通の部隊はそのまま富士通本体に残る。体系としては東芝が新会社に携帯電話事業を譲渡し、富士通がその新会社の株式を取得する形になる。出資比率を見ても、富士通が80.1%と大部分を占める。東芝の携帯電話事業は新会社に移管されることになるわけだ。いきなり全体が混合するのではなく、それぞれの部隊が当面はこれまで通り「東芝」ブランド、「富士通」ブランドで携帯電話端末の開発に取り組むようだ。
新会社の所在地は富士通の川崎工場内になり、従業員数は350名程度になる模様。
とはいえ、これらの話は当面に関してであり、徐々に開発部隊の統合など、両社によるコラボレーション及び連携が実際的に強化されていく予定にあるという。また、スマートフォン事業についてはより早期に統合が進められる模様。新会社の代表に就任する大谷信雄氏はケータイ Watchのインタビューの中で次のように答えている。
「今日明日ですぐにバサッと(ブランドを)変えるというわけにはいきません。ビジネスを進めながら、富士通と人の交流やシナジーを高めて、1年、1年半といった時間をかけて次のステップを目指していく」
一般ユーザーの立場から見ても、当面はこれまでと変わりなく富士通ブランドの端末と東芝ブランドの端末を選択していくことができることになる。
また、大谷氏はこのインタビューの中で、今後のスマートフォン戦略に関する話にも触れている。いくつか興味深い情報も出てきているので、ピックアップして箇条書きで紹介したい。
- ドコモ向け秋モデルでは、レグザのエンジンを使ったAndroid端末が出てくる
- スマートフォンに関してはより早い段階で富士通に統合し、東芝の部隊と共同で開発する
- 今冬モデルでは東芝がドコモ向け、au向けそれぞれにAndroidスマートフォンを出す
- プラットフォームをAndroidに共通化することでコスト効率を高め、ドコモ向け、au向け、グローバル向けに特別な差異なく端末を開発できる
- 年内については富士通ブランドでのスマートフォンの展開は予定していない
東芝ブランドで投入されるNTTドコモ向けのAndroidスマートフォンはワンセグ、おサイフケータイなどの国内定番機能を搭載したモデルになるとすでに報じられているが、やはりREGZAの名を冠した端末になりそうだ。また、au向けについてもベースを同じとする端末になるようだ。すなわち、IS04はドコモ向けモデルとほぼ同じスペックになる可能性が高い。ただし、UIに関してはau向け独自カスタマイズが施されたものになるかもしれない。
富士通ブランドのスマートフォンの登場は来年まで待つことになるが、まずは近いうちに正式発表される可能性の高い東芝ブランドでのAndroidスマートフォンに期待したい。
なお、下記参考リンクに載せたケータイ Watchの記事では事業統合に関して大谷氏が具体的な話を詳しく述べているので、関心のある方はチェックしてみて欲しい。
【情報元、参考リンク】
富士通/プレスリリース
東芝/プレスリリース
ケータイ Watch/キーパーソン・インタビュー 富士通の大谷氏が語る東芝との事業統合の狙い
GAPSIS/KDDI、au秋冬モデルでスマートフォン4機種をリリース?シャープ製IS03、東芝製IS04、京セラ製IS05、パンテック製IS06
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