X06HTIIは発表された仕様を見る限り、基本的にはX06HTと同じだ。異なるのはディスプレイが有機ELから液晶に変わったこと。それに伴い消費電力も変わっている。注意すべき差は主にこの2点だけだろう。しかし、ここでは一つずつ検証していきたいと思う。現在、X06HTとX06HTIIの選択で悩んでいる方の参考になれば幸いに思う。ただし、先に注意点を述べておきたい。本記事の情報はあくまでも現時点で入手できる情報や、関連情報を元に構成したものであり、正確性は保証できない。その為、参考程度にとどめて欲しい。
まず、X06HTの販売が終了し、X06HTIIが投入される理由は表向きには公表されていない。しかし、背景はある程度推測できる。考えられる原因は有機ELディスプレイの不足であり、サプライヤーである韓国Samsung Mobile Display社の生産能力・供給能力が現在の需要に追いついていないためだ。これにより端末製造メーカーである台湾HTCは「HTC Desire」「Nexus One」「HTC Droid Incredible」などの有機ELディスプレイ搭載端末を、ソニーのスーパーTFT液晶ディスプレイ(Super LCD)に切り替えるものと噂されている。実際にカナダの通信事業者Telusからは今夏、X06HTIIと同様に液晶ディスプレイ版のHTC Desireが登場する。韓国の通信事業者KTからも液晶ディスプレイ版のNexus Oneが販売される。
この件に関しては下記記事で詳しく記しているので、そちらを参照頂きたい。
- HTC、有機ELの在庫不足からHTC Desire、Nexus Oneなどのディスプレイをソニーの液晶へ変更か?
- 有機ELからソニー製Super LCDに切り替わった「HTC Desire」が現実に登場へ
では早速違いの検証に入りたい。
昨日の発表で明かされたX06HTIIの主な仕様は、通信方式、サイズ、重さ、連続通話時間、連続待受時間、ディスプレイ、カメラ、外部メモリー、外部接続機能、OS、カラー、CPU、光学ジョイスティック搭載、という点だ。これらの項目の中でX06HTと異なる点を紹介したい。
それは連続通話時間、連続待受時間、ディスプレイの3点のみ。それ以外は同じだ。
通話時間、待受時間が変わるのはディスプレイが変更になった影響だろう。有機ELと液晶では消費電力が異なる。具体的にどういう変化があったのか見てみたい。左がX06HT、右がX06HTIIで、その変化を示している。
- 連続通話時間(3G網):約390分→約390分
- 連続通話時間(GSM網):約310分→約400分
- 連続待受時間(3G網):約406時間→約360時間
- 連続待受時間(GSM網):約308時間→約340時間
通話時間も待受時間もGSM網では増えている。一方で3G網では通話時間は変わらないものの、待受時間が減っている。この変化をどう捉えるかは人それぞれかもしれないが、3G網での待受時間が減っているのは残念な結果と言えそうだ。
次にディスプレイ能力を見てみたい。残念ながらX06HTIIの実機もなければ画面写真や動画もないので、本当の検証はできない。しかし、X06HTIIがカナダのTelus版HTC Desireとベースが同じと考えれば、検証材料が出てくる。Telus版はSuper LCDが搭載されている。下の動画で紹介されている端末がそうだ。
この動画では有機ELディスプレイ搭載の「Nexus One」と液晶版HTC Desireを比較検証している。一番左がNexus One、2番目がHTC Desireだ。
視野角の特徴や色味を含めて基本的には違う。しかし、一般の多くのユーザーは大して気にならない違いかもしれない。
理論的には有機ELとSuper LCDとでは次のような違いがある(HTC試験データ。1,400mAhバッテリーを用いた試験)。
- 有機EL:バッテリーライフ小(25時間)、コントラスト比高い(10,000:1)、屋内での視認性高い、色の彩度(あざやかさ)に優れる、実解像度が低い
- Super LCD:バッテリーライフ大(30時間)、コントラスト比低い(1,000:1)、屋内での視認性に劣る、色の彩度に劣る、実解像度が高い
しかし、コントラスト比が低いとか、屋内視認性が劣るという話はあくまでも比較した場合のことだ。動画を見ていただければわかるように実使用上気になるレベルかと言われれば、そうでもない。有機ELと液晶は実物を見た場合、体感できる印象が異なる為、結局のところは実物を試して自分の好みで選ぶのが最もよい方法だろう。とはいえ、実機で比較をしようにもX06HTの予約期限である29日までには不可能だ。そこで、有機ELと液晶についてはX06HTのホットモックや、他の携帯電話端末も含めて確認されることをオススメしたい。当然参考程度にしかならないが、それでも多少は感覚が掴めるはずだ。
さて、最後に全体的な特徴をチェックしてみたい。下にTelus版のHTC Desireのハンズオン動画を掲載した。基本的にはHTC Desireそのものだ。もちろん、端末名は「HTC Desire」のままなのだから当然といえる。そして、国内のX06HTIIも端末名は「HTC Desire」のままだ。単に型番の末尾に「II」が添えられただけだ。その為、X06HTIIについてはX06HTの仕様変更版、という捉え方で間違いないはずだ。その仕様変更についても基本的にはディスプレイの違いのみ、となるだろう。
下に参考資料としてTelus版HTC Desireの端末写真を掲載した。
重ねての注意事項になるが、X06HTIIの仕様については現時点では詳細が発表されていない為、本記事の内容はあくまでも参考程度に留めて欲しい。この情報を頼りにX06HTやX06HTIIを購入し、結果的に後悔されたとしても当サイトでは一切の責任を負うことができない。その点ご了承頂きたい。
【情報元、参考リンク】
ソフトバンク/X06HTII報道発表資料
ソフトバンク/X06HT製品紹介ページ
Telus/HTC Desire紹介ページ